ユーラシア・ボーダー・レビューは、日本を含むユーラシア地域研究の統合を目的として、グローバルCOEプロ グラム「境界研究の拠点形成」が編集・発行する雑誌である。ヨーロッパ、北米を中心として、国際的には優れた境界研究雑誌がいくつかあるものの、アジアや 旧ソ連の境界を扱う総合的な雑誌はなかった。ロシアやインド、中国には確かに境界事象をカバーする研究所、雑誌が存在するが、一国内・地域内の個別的な事 象研究にとどまっており、地域を越えたダイナミズムに欠けている。一方で、日本では今日、隣国との国境問題に対する関心が高まっているが、境界問題のため の如何なる研究部門・組織も立ち上げられてこなかった。グローバル化する国際社会では境界の意味の再考・再検討の機運が高まっており、ブレイクスルーの必 要性が生じている。ユーラシア・ボーダー・レビュー発行の意義と課題は、このような現実に応えることにある。