先住民とは、「特に植民地化並びにその土地、領域及び資源のはく奪の結果として歴史的に不正に扱われ」、「それによって特に自己の必要と利益にしたがって 発展の権利を行使することを妨げられている」状況にある人々を指します。ヤキ(民族の自称はヨエメ[Yoeme])は、北米大陸の先住民族です。
現在、アメリカ合衆国南西部(以下アメリカ)と、メキシコ北西部に、国境を挟んで居住しています。ヤキの人々は独自の言語を持ち、鹿の踊りや仮面の 踊りといった文化を継承しています。アメリカ側に居住する人々は、アメリカ政府よりパスクア・ヤキ(Pascua Yaqui)と呼ばれています。現在、メキシコ側に約1万4000人、アメリカ側に約2万2000 人のヤキの人々が生活しているといわれています。
主な展示物
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仮面の踊り(Pahko’ola)は、鹿の踊り(Maaso)と並んで、ヤキの代表的 な伝統芸能です。仮面には、人、山羊、鶏といった数種類のパターンがあります。地の黒は夜を、白は光を表し、ヤキの世界観を表現しています。他にも、縁の 三角形は太陽の光、額の十字は神である太陽、点は星、頬の三角形は悲しみ、トカゲは自然など、デザインには精神世界に基づいた意味が込められています。踊 り手になって仮面を着けることができるのは男性のみです。 |
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ヤキの仮面の踊りや鹿の踊りの伴奏には、太鼓や笛、マラカスといったヤキの伝統的な楽 器に加え、バイオリンやハープといったヨーロッパからもたらされた楽器も使われます。ここに展示されているのはヤキの伝統的な太鼓で、乾燥させたヒョウタ ンを2つに切って作られており、水を張った桶に浮かべて叩きます。表面にはヤキ文化の重要なシンボルである花が描かれています。 |
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現代の彫刻家は、お土産用の小さな仮面など装飾用の彫刻も制作します。モチーフには、 伝統舞踊の踊り手やヤキが居住する地域の風景をはじめ、ハチドリや花といったヤキの精神世界で大切にされるシンボルなども用いられます。彫刻のほかにも、 油絵やペン画、壁画、タイル製のモザイクなど、様々な方法を通じてヤキの世界観の表現が試みられています。 |