平山セミナー(11日)、ガトレル・セミナー(12日)参加記
2011/01/12
1月11日、スラブ研究センター大会議室において、平山陽洋GCOE研究員によるセミナー「ベトナムにおける戦争と独立-第一次インドシナ戦争の経験-」が開催されました。平山報告は、これまで国外では忘れ去られて、ベトナム内では紋切型でしか解釈されてこなかった第一次インドシナ戦争に焦点をあてたものでした。
第一次インドシナ戦争後、南北分裂の原因を地理的要因(北に隣接する中国、物資調達先であるタイ、追加ルートであるラオス、仏軍に占領された中央部)から説明するもので、東西対立に位置づけたり、指導者を列挙する研究とは一線を画するものといえます。
会場からは、時間的制約から説明が省かれた地方アクター、宗教アクターに対する質問が多く寄せられました。今回の報告は、ベトナム近現代史にとどまらず、脱植民地の比較や帝国論とも関連があり、スケールが大きい研究に発展する可能性を秘めたものです。
翌1月12日、スラブ研究センター大会議室において、ピーター・ガトレル氏(マンチェスター大教授)による特別セミナー「World Refugee Year, 1959-1960 and the history of population displacement」が開催されました。ガトレル氏は、ロシア・東欧地域の人口移動の大家であり、ロシア史研究会において「Rethinking the First World War」(1月8日、東京)を報告されています。GCOEセミナーではテーマを変え、第二次世界大戦後に「自由主義世界」を中心に沸き起こった難民救済運動を、国連難民救済年を中心に論じました。国際政治上の駆け引きというよりは、人道主義の意義を強調する異色のもので、宗教界やNGO、市民運動といった非国家アクターの役割が数多く紹介されました。会場からは、冷戦史からの解釈やソ連の立場についての質問が寄せられ、また、人道主義に名を借りた新植民地主義の発露ではないのか、といった意見も出され、活発な質疑がなされました。
なお、北大でのガトレル氏の報告は、新著「FREE WORLD? The Campaign to Save the World’s Refugees 1956-1963」に基づくもので、同書のスラブ研図書室所蔵が待たれます。
第一次インドシナ戦争後、南北分裂の原因を地理的要因(北に隣接する中国、物資調達先であるタイ、追加ルートであるラオス、仏軍に占領された中央部)から説明するもので、東西対立に位置づけたり、指導者を列挙する研究とは一線を画するものといえます。
会場からは、時間的制約から説明が省かれた地方アクター、宗教アクターに対する質問が多く寄せられました。今回の報告は、ベトナム近現代史にとどまらず、脱植民地の比較や帝国論とも関連があり、スケールが大きい研究に発展する可能性を秘めたものです。
翌1月12日、スラブ研究センター大会議室において、ピーター・ガトレル氏(マンチェスター大教授)による特別セミナー「World Refugee Year, 1959-1960 and the history of population displacement」が開催されました。ガトレル氏は、ロシア・東欧地域の人口移動の大家であり、ロシア史研究会において「Rethinking the First World War」(1月8日、東京)を報告されています。GCOEセミナーではテーマを変え、第二次世界大戦後に「自由主義世界」を中心に沸き起こった難民救済運動を、国連難民救済年を中心に論じました。国際政治上の駆け引きというよりは、人道主義の意義を強調する異色のもので、宗教界やNGO、市民運動といった非国家アクターの役割が数多く紹介されました。会場からは、冷戦史からの解釈やソ連の立場についての質問が寄せられ、また、人道主義に名を借りた新植民地主義の発露ではないのか、といった意見も出され、活発な質疑がなされました。
なお、北大でのガトレル氏の報告は、新著「FREE WORLD? The Campaign to Save the World’s Refugees 1956-1963」に基づくもので、同書のスラブ研図書室所蔵が待たれます。