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小椋彩氏「うつろう境界の物語――オルガ・トカルチュク『昼の家、夜の家』をめぐって」(2/25)参加記
2011/03/03
2月25日、小椋彩氏による特別セミナー「うつろう境界の物語――オルガ・トカルチュク『昼の家、夜の家』(白水社)をめぐって」が、世界文学研究会との共催で開催された。セミナーの内容は、小椋氏が昨年自らの手で訳した、現代ポーランド文学の第一人者トカルチュクの代表作『昼の家、夜の家』をめぐるものであった。小椋氏は、様々な境界がうつろう流動的作品世界の思想的背景を、東洋思想を手掛かりに解説した。スラブ研究センター、北大文学部、国際広報メディア研究科から30名を超える参加者があり、報告の後、様々な観点からコメント・質疑応答が行われた。構成の独創性、反復されるモティーフの機能、文体、ロシアのポストモダンとの類似性のほか、手法とテーマの共通点(分析・批評に対する自意識)といった特徴が指摘された。文学作品を通して「境界」を論じる可能性について考えさせられるセミナーとなった。
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