「北朝鮮をめぐる境界の政治」(3/13)参加記
2011/03/22
3月13日、GCOE・SRC国際シンポジウム「北朝鮮をめぐる境界の政治」が北海道大学スラブ研究センター大会議室で開催されました。
本セミナーの特色は、今日の朝鮮半島の境界を「38度線」にとどまらず、様々なアプローチから捉える報告を一堂に集めたことにあります。
基調報告に立った李鍾曙・(元韓国統一部長官)氏は、盧武鉉政権の北朝鮮政策を主導した人物で、余り知られていない中朝1300km国境の国境線画定過程について詳細に報告されました。その中で、当時の中国を取り巻く国際情勢から、北朝鮮にとって有利な線引きが行われたこと、国境線上にある河川は共同利用であり、河川の三角州、砂洲や島は一々帰属を画定させた等、興味深い史実が紹介されまた。また、現在の国際情勢については、その人口、国土、経済規模から中国を大国として許容し、かつ北朝鮮を疎外するのではなく、支援・協力し、東アジア共同体の枠組みで対立を緩和することを主張されました。
第二部の森善宣(佐賀大学)報告は、南北が「対立の相互依存」により、対立・分断を政権維持の材料として利用してきた歴史が語られ、太陽政策により変容したものの、今日また逆戻りしている状況が説明されました。韓恵仁(建国大学校)報告は、サハリン・樺太の朝鮮人が、戦後の境界引き直しにより、日本から見捨てられ、韓国に帰還した人々も当局の反日感情を煽る道具として利用され、現在でも韓国社会に溶け込めないでいる現状が報告されました。洪翼杓(韓国対外経済政策研究所:KIEP)報告は、北朝鮮の対外経済政策について、かつては日本が最大の貿易相手国であったが、拉致問題で落ち込み、南北経済協力で穴埋めしようとしていること、中朝経済協力では中国は北朝鮮に対し「開放」を強制していないが、自分たちの利害に関わる場所にしか投資していない、といった現実が紹介されました。
総じて、4報告とも、政治色を排して、現状を客観的に把握したものであり、特に韓国の政策当事者であった二名の報告は、韓国政府の北朝鮮政策を理解する上で極めて有意義であったと思われます。
本セミナーの特色は、今日の朝鮮半島の境界を「38度線」にとどまらず、様々なアプローチから捉える報告を一堂に集めたことにあります。
基調報告に立った李鍾曙・(元韓国統一部長官)氏は、盧武鉉政権の北朝鮮政策を主導した人物で、余り知られていない中朝1300km国境の国境線画定過程について詳細に報告されました。その中で、当時の中国を取り巻く国際情勢から、北朝鮮にとって有利な線引きが行われたこと、国境線上にある河川は共同利用であり、河川の三角州、砂洲や島は一々帰属を画定させた等、興味深い史実が紹介されまた。また、現在の国際情勢については、その人口、国土、経済規模から中国を大国として許容し、かつ北朝鮮を疎外するのではなく、支援・協力し、東アジア共同体の枠組みで対立を緩和することを主張されました。
第二部の森善宣(佐賀大学)報告は、南北が「対立の相互依存」により、対立・分断を政権維持の材料として利用してきた歴史が語られ、太陽政策により変容したものの、今日また逆戻りしている状況が説明されました。韓恵仁(建国大学校)報告は、サハリン・樺太の朝鮮人が、戦後の境界引き直しにより、日本から見捨てられ、韓国に帰還した人々も当局の反日感情を煽る道具として利用され、現在でも韓国社会に溶け込めないでいる現状が報告されました。洪翼杓(韓国対外経済政策研究所:KIEP)報告は、北朝鮮の対外経済政策について、かつては日本が最大の貿易相手国であったが、拉致問題で落ち込み、南北経済協力で穴埋めしようとしていること、中朝経済協力では中国は北朝鮮に対し「開放」を強制していないが、自分たちの利害に関わる場所にしか投資していない、といった現実が紹介されました。
総じて、4報告とも、政治色を排して、現状を客観的に把握したものであり、特に韓国の政策当事者であった二名の報告は、韓国政府の北朝鮮政策を理解する上で極めて有意義であったと思われます。