セミナー「境界と風景画-色丹グループの活動 1966-1991年」(6/27)参加記
2011/06/28
6月27日、第14回 ボーダースタディーズ・セミナー「境界と風景画-色丹グループの活動 1966-1991年」が開かれました。講師の谷古宇 尚氏はイタリア美術を専門とする一方で、北海道という地の利を活かして、極東を描いたソビエト美術についても研究されています。
今回のセミナーでは、ロシャコフ(Олег Лошаков)を中心とした「色丹グループ」の運動について、その歴史やモチーフとした色丹の描き方について、彼らの絵画作品を紹介しながら説明されました。
特に、豊かな自然と劇的に変化する気候が彼らの心を捉えた一方で、斜古丹湾と遥かに見える爺爺岳が西洋絵画の典型的なパターンであり、作られた風景であることが示されました。また、ソ連独特の事情としては、缶詰工場やそこで働く女性労働者も描かれましたが、後者については若い画家達の個人的な動機があるのではないかと指摘されまた。
また、色丹グループの活動を推進した歴史的背景としては、フルシチョフによる「ロバの尻尾事件」があり、それを契機として、若い芸術家達を辺境に派遣し、ソ連の現実を描かせるという当局の意図があったのではないかという仮説も提示されました。
会場からは、政治プロパガンダ性の有無や、「色丹グループ」の画壇における位置付けについて、質問が出されました。参加者は、共産主義時代に境界地域で展開されていた絵画運動について触れ、ソ連時代の芸術の一端を知ることとなりました。
今回のセミナーでは、ロシャコフ(Олег Лошаков)を中心とした「色丹グループ」の運動について、その歴史やモチーフとした色丹の描き方について、彼らの絵画作品を紹介しながら説明されました。
特に、豊かな自然と劇的に変化する気候が彼らの心を捉えた一方で、斜古丹湾と遥かに見える爺爺岳が西洋絵画の典型的なパターンであり、作られた風景であることが示されました。また、ソ連独特の事情としては、缶詰工場やそこで働く女性労働者も描かれましたが、後者については若い画家達の個人的な動機があるのではないかと指摘されまた。
また、色丹グループの活動を推進した歴史的背景としては、フルシチョフによる「ロバの尻尾事件」があり、それを契機として、若い芸術家達を辺境に派遣し、ソ連の現実を描かせるという当局の意図があったのではないかという仮説も提示されました。
会場からは、政治プロパガンダ性の有無や、「色丹グループ」の画壇における位置付けについて、質問が出されました。参加者は、共産主義時代に境界地域で展開されていた絵画運動について触れ、ソ連時代の芸術の一端を知ることとなりました。