冬シンポジウム(11/26)参加記
2011/11/30
11月26日、GCOE主催としては3回目となる冬期国際シンポジウムが開催されました。岩下拠点リーダーによる基調演説に続き、例年通り冒頭に理論セッションを置き、地域・テーマ別に「東南アジア地域の境界と開発」、「分断された空間」セッションという構成になりました。理論セッションでは、北米から、Tony Payan氏、ヨーロッパからはJames Scott氏という、世界の境界研究をリードする研究者が報告を行いました。北米は米墨、米加という境界研究が最も注目する国境を抱えており、またヨーロッパはEU統合により、境界が新たに引き直されている地域です。両氏とも、個別の事例紹介にとどまっていて、理論や比較を考慮しない従来の「境界研究」を鋭く批判しました。
博物館で第六期展示「越境するイメージ:メディアにうつる中国」を見学、昼休みのランチオン・セミナーを挟み、「東南アジアにおける境界と開発」セッションでは、英語圏の研究者によるメコン川のダム問題、インド北東部の人口移動問題およびカンボジアの国際問題に関する報告が行われました。詳細な現地調査に基づき、情報豊富な、現場の空気が伝わってくるような報告となりました。
「分断された空間セッション」では、エルサレム、モスタル(ボスニア・ヘルツェゴビナ)、アイルランド、沖縄についてそれぞれの専門家が報告を行いました。エルサレムについては、報告者のYacobi氏が家族の事情で不参加となり、今野泰三氏(大阪市立大学)が自らの研究を元にして、エルサレム市内の分断の模様を報告しました。モスタルの報告では都市建築学の観点から、アイルランドは長い分段の歴史から、沖縄は近年の海兵隊基地移設問題の観点から報告がなされました。一方で、討論者からは、世界中の同様の現象と比較するための拠り所や手法を考慮すべきではないか、とのコメントが出されました。こうした議論は、比較政治学からの地域研究に対する批判と似ており、地域研究を生業とするスラブ研究センターにとっても意味あるものでした。シンポジウムでは日英同時通訳が提供され、翌日の会議に参加する実務者達や一般市民も境界研究の議論に聞き入っていました。
シンポジウムの翌27日には、本GCOE主催により、中村美彦氏(フリージャーナリスト)を司会に、金平茂紀氏(TBSキャスター)らをパネリストに据えた公開討論会「激論 北方領土問題 現場からの眼差し」が札幌エルプラザ内ホールで開かれ、150名余りの市民が、ロシアと根室の事情に精通した専門家達による討論に耳を傾けました。
博物館で第六期展示「越境するイメージ:メディアにうつる中国」を見学、昼休みのランチオン・セミナーを挟み、「東南アジアにおける境界と開発」セッションでは、英語圏の研究者によるメコン川のダム問題、インド北東部の人口移動問題およびカンボジアの国際問題に関する報告が行われました。詳細な現地調査に基づき、情報豊富な、現場の空気が伝わってくるような報告となりました。
「分断された空間セッション」では、エルサレム、モスタル(ボスニア・ヘルツェゴビナ)、アイルランド、沖縄についてそれぞれの専門家が報告を行いました。エルサレムについては、報告者のYacobi氏が家族の事情で不参加となり、今野泰三氏(大阪市立大学)が自らの研究を元にして、エルサレム市内の分断の模様を報告しました。モスタルの報告では都市建築学の観点から、アイルランドは長い分段の歴史から、沖縄は近年の海兵隊基地移設問題の観点から報告がなされました。一方で、討論者からは、世界中の同様の現象と比較するための拠り所や手法を考慮すべきではないか、とのコメントが出されました。こうした議論は、比較政治学からの地域研究に対する批判と似ており、地域研究を生業とするスラブ研究センターにとっても意味あるものでした。シンポジウムでは日英同時通訳が提供され、翌日の会議に参加する実務者達や一般市民も境界研究の議論に聞き入っていました。
シンポジウムの翌27日には、本GCOE主催により、中村美彦氏(フリージャーナリスト)を司会に、金平茂紀氏(TBSキャスター)らをパネリストに据えた公開討論会「激論 北方領土問題 現場からの眼差し」が札幌エルプラザ内ホールで開かれ、150名余りの市民が、ロシアと根室の事情に精通した専門家達による討論に耳を傾けました。