土曜市民セミナー「現代小説の中の中国女性たちの彼方」(3/24)参加記
2012/03/24
2012年3月24日、北大総合博物館において土曜市民セミナー「現代小説の中の中国女性たちの彼方」が開かれました。講師の泉京香氏は現代中国文学の翻訳家として著名で、70 后、80 后( 7 0 年代生まれ、80 年代生まれ)の作家たちの作品から読み取れる、自分の居場所を探す現代中国の若者像を、ミラン・クンデラの言葉をキーワードにして語られました。79年の一人っ子政策開始が、両世代の重要な分岐点となっていると指摘します。例えば、衛慧(73年生)の 「上海ベイビー」においては、海外に憧れる若者が肯定的に描かれ、アニーベイビーの作品でも、インターネットを通じて、他の都市に流れる若者が描かれます。一方で80年代生まれの郭敬明や田原の作品においては、あっさりと自殺してしまう高校生が頻出します。経済成長し、生活が豊かになり、どこへでも行くことが可能な強い中国の裏で、弱い若者が存在すること、かつての道徳観がかわりつつあることを泉氏は指摘しました。
季節外れの雪にもかかわらず、会場には中国文学の愛読者が多く参加し、セミナー終了後も、講師との間で熱心な意見交換が行われていました。
季節外れの雪にもかかわらず、会場には中国文学の愛読者が多く参加し、セミナー終了後も、講師との間で熱心な意見交換が行われていました。