ABS ヒューストン大会(2012.4/12-14)参加記
2012/04/17
2012年4月12日~14日、ABSの年次大会がテキサス州ヒューストン市で開催されました。本GCOE「境界研究の拠点形成」からは、岩下拠点リーダーおよび地田、平山、花松、藤森研究員が、また、GCOE支援により池 炫周 直美(北大公共政策大学院)、ポール・リチャードソン(学術外国人特別研究員)がそれぞれ報告を行いました。
岩下報告 "Breaking the Curse of Japan’s Maritime Borders"は、 大戦前の日本が巨大な海洋国家であり、今日も大きなEEZを保有していることを指摘し、海の境界の重要性を主張するものでした。その観点から、11月開催のBRIT XII福岡・釜山大会の意義が説明されました。
花松報告"National, Regime and Knowledge Borders in Ecosystem Management: The Case of the Amur-Okhotsk ecosystem" は、オホーツク海の海洋資源がアムール川全体の環境保全と関連していることを指摘するものでした。しかしながら、オホーツク海の海洋資源への依存度が、アムール下流のロシア、日本と、上流の中国、モンゴルとの間で差があり、関連国間の調整のための諸方策が提言されました。
地田報告 "Origins of Transboundary Water-Energy Problems in Contemporary Central Asia" は、中央アジアにおける水利開発が、今日でもスターリンの自然改造計画の影響下にあることを歴史的に示すとともに、今日の中国の西部大開発政策により、中央アジア諸国間のみならず隣接諸国との間でも水資源を巡る争いが激化している現状が紹介されました。
平山報告 "The governance of borderlands in the process of nation-state building during the war of independence in northern vietnam" は今日のベトナムの領土変遷が、豊富な地図資料によって示され、特に、フランス統治下とその後の独立戦争による領土の流動化が、その後、地方における大動員政策や徴税において混乱の原因となったことが主張されました。
藤森報告 “Gaseous Borders: The Former Soviet Republics between Producer and Consumer” は、かつて存在したロシアとヨーロッパ市場間のガス販売価格差が、友好価格に基づくというよりは、価格差を利用した再輸出ビジネスや、安いガスを利用した発電輸出の利益構造のために存在したことを主張するものでした。しかしながら、ロシアのWTO加盟やLNG普及により、こうした価格設定が困難になり、何れは「市場価格化」される将来像が提示されました。
いずれの報告も、一次資料に基づくアジアや旧ソ連諸国を対象とした研究報告で、北米(米加国境、米墨国境)主体のABS会員にとってなじみがない地域です。しかし、北米との共通性や比較の観点が討論者や会場から指摘され、将来的な研究の広がりを期待させるものとなりました。特に、河川の水資源、環境保全については、膨大な研究蓄積がある米墨国境地域との比較に可能性があると感じさせられました。
岩下報告 "Breaking the Curse of Japan’s Maritime Borders"は、 大戦前の日本が巨大な海洋国家であり、今日も大きなEEZを保有していることを指摘し、海の境界の重要性を主張するものでした。その観点から、11月開催のBRIT XII福岡・釜山大会の意義が説明されました。
花松報告"National, Regime and Knowledge Borders in Ecosystem Management: The Case of the Amur-Okhotsk ecosystem" は、オホーツク海の海洋資源がアムール川全体の環境保全と関連していることを指摘するものでした。しかしながら、オホーツク海の海洋資源への依存度が、アムール下流のロシア、日本と、上流の中国、モンゴルとの間で差があり、関連国間の調整のための諸方策が提言されました。
地田報告 "Origins of Transboundary Water-Energy Problems in Contemporary Central Asia" は、中央アジアにおける水利開発が、今日でもスターリンの自然改造計画の影響下にあることを歴史的に示すとともに、今日の中国の西部大開発政策により、中央アジア諸国間のみならず隣接諸国との間でも水資源を巡る争いが激化している現状が紹介されました。
平山報告 "The governance of borderlands in the process of nation-state building during the war of independence in northern vietnam" は今日のベトナムの領土変遷が、豊富な地図資料によって示され、特に、フランス統治下とその後の独立戦争による領土の流動化が、その後、地方における大動員政策や徴税において混乱の原因となったことが主張されました。
藤森報告 “Gaseous Borders: The Former Soviet Republics between Producer and Consumer” は、かつて存在したロシアとヨーロッパ市場間のガス販売価格差が、友好価格に基づくというよりは、価格差を利用した再輸出ビジネスや、安いガスを利用した発電輸出の利益構造のために存在したことを主張するものでした。しかしながら、ロシアのWTO加盟やLNG普及により、こうした価格設定が困難になり、何れは「市場価格化」される将来像が提示されました。
いずれの報告も、一次資料に基づくアジアや旧ソ連諸国を対象とした研究報告で、北米(米加国境、米墨国境)主体のABS会員にとってなじみがない地域です。しかし、北米との共通性や比較の観点が討論者や会場から指摘され、将来的な研究の広がりを期待させるものとなりました。特に、河川の水資源、環境保全については、膨大な研究蓄積がある米墨国境地域との比較に可能性があると感じさせられました。