「国境(くにざかい)フォーラムin隠岐」で激論!
2012/09/18
2012年9月10日、隠岐の島町・五箇生涯学習センターで「国境(くにざかい)フォーラムin隠岐」が開催されました。本プログラムが日本島嶼学会と主催したもので、パネリストとして全京秀(ソウル大教授)、安渓遊地(山口県立大教授)に、松田和久(隠岐の島)町長が報告を行い、岩下が司会とコメンテーターを務めました。朝から全島放送が入るなど町をあげての行事となり、100名を越える参加者があり、地元の方々も大いに発言されました。
今回のフォーラムは、竹島のお膝元で地元の方々と議論しながら、現場の目線で竹島問題を考えるという目的で計画された、ほぼ1年越しの企画でしたが、昨今の日韓関係の大荒れにより、メディアの方々にも注目を浴びるものとなりました。地域としての鬱陵島と隠岐島のつながりの深さについて述べた全報告、現場の声から常に問題を考えてきた宮本常一の眼差しの意義を強調した安渓報告は、ともに聴衆に感銘を与えていました。松田町長の、隠岐にとっての海の利用、とくに日韓暫定水域の重要性を何度もアピールも大変、印象的でした。もとより、フロアからは「固有の領土」をめぐっての熱い問いかけもありましたが、地元の声を丹念にきき、それを真摯な専門家たちが共有することこそ、政治的喧噪のみに傾斜せずに、人々の生活が守れるのではないかとする本フォーラムの狙いは十分に達成されたように思います。
シンポジウムの間、個人的には、管轄しているはずの目前の歯舞群島に自由に入れない根室の漁民の姿を、隠岐の現状に重ねていました。合併前の五箇村が竹島を管轄していたことを思えば、地元の方々にとっては、これは「分断された生活空間」に他ならないからです。内外の境界問題研究者が知恵を絞って、これらの諸問題に取り組むことが肝要だと改めて感じました。
なお当日の会議の模様は、近々DVDに収録され、「ライブ・イン・ボーダースタディーズ」として刊行される予定です。この場を借りて、シンポジウムを成功させたくださった松田町長始め地元の方々と日本島嶼学会の理事のみなさまに心よりお礼申し上げます。
(岩下明裕)
今回のフォーラムは、竹島のお膝元で地元の方々と議論しながら、現場の目線で竹島問題を考えるという目的で計画された、ほぼ1年越しの企画でしたが、昨今の日韓関係の大荒れにより、メディアの方々にも注目を浴びるものとなりました。地域としての鬱陵島と隠岐島のつながりの深さについて述べた全報告、現場の声から常に問題を考えてきた宮本常一の眼差しの意義を強調した安渓報告は、ともに聴衆に感銘を与えていました。松田町長の、隠岐にとっての海の利用、とくに日韓暫定水域の重要性を何度もアピールも大変、印象的でした。もとより、フロアからは「固有の領土」をめぐっての熱い問いかけもありましたが、地元の声を丹念にきき、それを真摯な専門家たちが共有することこそ、政治的喧噪のみに傾斜せずに、人々の生活が守れるのではないかとする本フォーラムの狙いは十分に達成されたように思います。
シンポジウムの間、個人的には、管轄しているはずの目前の歯舞群島に自由に入れない根室の漁民の姿を、隠岐の現状に重ねていました。合併前の五箇村が竹島を管轄していたことを思えば、地元の方々にとっては、これは「分断された生活空間」に他ならないからです。内外の境界問題研究者が知恵を絞って、これらの諸問題に取り組むことが肝要だと改めて感じました。
なお当日の会議の模様は、近々DVDに収録され、「ライブ・イン・ボーダースタディーズ」として刊行される予定です。この場を借りて、シンポジウムを成功させたくださった松田町長始め地元の方々と日本島嶼学会の理事のみなさまに心よりお礼申し上げます。
(岩下明裕)