土曜市民セミナー 「境界のイメージ-シコタン・グループの活動について」(4/20)参加記
2013/04/20
2013年4月20日、北海道大学総合博物館において、土曜市民セミナー 「境界のイメージ-シコタン・グループの活動について」が開かれました。講師の谷古宇尚氏(北大大学院文学研究科)は、第八期展示を担当した本GCOE推進員の一人であり、本展示で取り上げられたシコタン・グループを中心とした講義となりました。
谷古宇氏はまずシコタン・グループの成り立ち、リーダーのロシャコフ氏の経歴を紹介した後、彼らの活動は、60年代のソ連美術界における社会主義リアリズムへの揺り戻しを背景としていたたとします。ソ連境界地帯へ芸術家を派遣し、風景を写実的に描かせることで、(画家たちは無自覚であったが)これら境界地帯がソ連の領土であると示すという政治的意図が指摘されました。
次いで、グループとして活動した理由として、当時のソ連では、美術家同盟という制度と、テーマが限定されていたことが、集団で行動する理由であったと説明されました。
シコタングループが描く絵画については、斜古丹湾から望む爺爺岳というモチーフを用いながら、ソ連的、ロシア的な解釈で風景画が描かれており、さらには、兵士、労働者(特に水産加工工場の労働者)、漁師という対象はソ連的なテーマであるという特徴が強調されました。こうしたシコタングループの絵画は、実はヨーロッパ絵画と共通する部分が多いことが、ヨーロッパの画家が描いた風景画との対比で示されました。
最後に、ソ連崩壊後のシコタングループの活動に触れ、モスクワと極東ロシアとの関係が希薄になったとにより、グループとして活動がなくなり、また色丹島自体の自然荒廃により、グループ活動は終焉したものの、21世紀に入ってからモスクワでロシャコフ展が開催されたり、創設40周年展がウラジオストックで開催される等、個々の画家たちの活動は健在である、と結ばれました。
当日は天候にも恵まれ、80名余りが会場に詰めかけました。特に、若年層が2割近くを占めており、ソ連およびロシアの芸術に対する関心の高さが伺われたことが特筆されます。
谷古宇氏はまずシコタン・グループの成り立ち、リーダーのロシャコフ氏の経歴を紹介した後、彼らの活動は、60年代のソ連美術界における社会主義リアリズムへの揺り戻しを背景としていたたとします。ソ連境界地帯へ芸術家を派遣し、風景を写実的に描かせることで、(画家たちは無自覚であったが)これら境界地帯がソ連の領土であると示すという政治的意図が指摘されました。
次いで、グループとして活動した理由として、当時のソ連では、美術家同盟という制度と、テーマが限定されていたことが、集団で行動する理由であったと説明されました。
シコタングループが描く絵画については、斜古丹湾から望む爺爺岳というモチーフを用いながら、ソ連的、ロシア的な解釈で風景画が描かれており、さらには、兵士、労働者(特に水産加工工場の労働者)、漁師という対象はソ連的なテーマであるという特徴が強調されました。こうしたシコタングループの絵画は、実はヨーロッパ絵画と共通する部分が多いことが、ヨーロッパの画家が描いた風景画との対比で示されました。
最後に、ソ連崩壊後のシコタングループの活動に触れ、モスクワと極東ロシアとの関係が希薄になったとにより、グループとして活動がなくなり、また色丹島自体の自然荒廃により、グループ活動は終焉したものの、21世紀に入ってからモスクワでロシャコフ展が開催されたり、創設40周年展がウラジオストックで開催される等、個々の画家たちの活動は健在である、と結ばれました。
当日は天候にも恵まれ、80名余りが会場に詰めかけました。特に、若年層が2割近くを占めており、ソ連およびロシアの芸術に対する関心の高さが伺われたことが特筆されます。