セミナー 「アラル海救済策と小アラル海漁業の歴史と現状」(4/23)参加記
2013/04/24
2013年4月24日、スラブ研究センター大会議室において、セミナー 「アラル海救済策と小アラル海漁業の歴史と現状」が開かれました。報告者の地田徹朗(GCOE研究員)氏は、ソ連時代の水利事業の歴史を専門としており、自らの知見にに加え、新たにカザフスタンにおける現地調査を踏まえて、アラル海危機の進行と救済の現状を、アルヒーフおよび現地聞き取り調査を行い、国家レベルと地域レベル両面からアプローチしようとします。
地田氏は、特に、アラル海危機を、時間的・機能的・空間的ミスフィットという三点から説明します。ソ連という体制が、漸進的な環境悪化に際して住民の声が当局に届くメカニズムを有しておらず(時間的ミスフィット)、縦割り行政が調整・決定を阻み(機能的ミスフィット)、そして各アクターが、異なる地理スケールに基づいて、異なるアラル海の在り方を抱いていたこと(空間的ミスフィット)により、アラル海問題をして危機に陥らせたと地田氏は結論付けます。
本報告は、豊富なアルヒーフおよび文献調査に立脚しつつも、今日、漁獲高を取り戻しつつある小アラル漁業地域における漁業関係者、自治体、NGOアクターの視点を入れ込むことにより、アラル海問題とその救済策が現在進行形かつ、連邦や国レベルの単純な失敗劇にとどまらないことを指摘した点にユニークさがあると感じられました。一方で、アラル海の別の当事者であるウズベキスタン側については、アラル海の底が露出したことによりガス採掘が容易になり、大アラル救済の可能性はなくなったことも指摘されました。
最後に、本セミナーは、新たに発足した境界研究ユニット(UBRJ)の最初の主催イベントであることを付しておきます。
地田氏は、特に、アラル海危機を、時間的・機能的・空間的ミスフィットという三点から説明します。ソ連という体制が、漸進的な環境悪化に際して住民の声が当局に届くメカニズムを有しておらず(時間的ミスフィット)、縦割り行政が調整・決定を阻み(機能的ミスフィット)、そして各アクターが、異なる地理スケールに基づいて、異なるアラル海の在り方を抱いていたこと(空間的ミスフィット)により、アラル海問題をして危機に陥らせたと地田氏は結論付けます。
本報告は、豊富なアルヒーフおよび文献調査に立脚しつつも、今日、漁獲高を取り戻しつつある小アラル漁業地域における漁業関係者、自治体、NGOアクターの視点を入れ込むことにより、アラル海問題とその救済策が現在進行形かつ、連邦や国レベルの単純な失敗劇にとどまらないことを指摘した点にユニークさがあると感じられました。一方で、アラル海の別の当事者であるウズベキスタン側については、アラル海の底が露出したことによりガス採掘が容易になり、大アラル救済の可能性はなくなったことも指摘されました。
最後に、本セミナーは、新たに発足した境界研究ユニット(UBRJ)の最初の主催イベントであることを付しておきます。