「『国境観光』を考える」(10/18)参加記
2013/10/18
2013年10月18日、北海道大学スラブ研究センター大会議室において、GCOE・UBRJセミナー「『国境観光』を考える」 が開かれました。
境界であることをむしろ隣との接触場所である、とプラスに考えることで観光に生かすことができないか、という発想を、まず岩下明裕拠点リーダーが説明し、日本では、前提となる「隣と付き合える」境界自治体が限定されている、という問題意識が提起されました。
次いで、そうした中で例外ともいえるケースとして、韓国と日本との接点である対馬における観光問題を花松GCOE研究員が行いました。九大韓国センター、九経調との合同プロジェクト「国境の街:上対馬の現状と課題」の中で花松研究員は、特に上対馬の調査に焦点を当て、個々の業者の努力はあるものの、受け入れ側の能力の限界(入管の処理、移動手段、土産物店の数、ホテル客室数)があり、地域活性化とどう結びつけることができるのか、という課題を示しました。
田村慶子(北九州大)報告「東南アジアの国境観光を考える」では、東南アジアにおける国境の高さが歴史的経緯から説明された後、タイ・ミャンマー国境のバーン・トンの少数民族村とシンガポール・マレーシア国境ジョホールバルのイスカンダル計画が事例として報告されました。いずれの場合も、資本の力に地元の文化やコミュニティが従属している問題点が存在します。
最後に浜桜子(MOツーリスト社)報告、「旧ソ連をめぐる国境旅行:旅行社の経験」では、旧ソ連諸国のビザ取得を中心としたこの地域独特の観光の難しさに言及がなされました。
討論者からは、観光学の立場として、「国境観光と海外旅行との違いは何か」、「観光客にとり国境観光の目的は何か」、といった「国境環境」という研究分野を確立する上で重要な質問が出されました。豊富な事例と相応しい討論が組み合わさった本セミナーは新しい研究のブレインストーミングの場として非常に有意義であったと思われます。
会場は50名余の参加者で占められ、国外観光客に少なからず依存する北海道の関心の高さを反映したものとなりました。
境界であることをむしろ隣との接触場所である、とプラスに考えることで観光に生かすことができないか、という発想を、まず岩下明裕拠点リーダーが説明し、日本では、前提となる「隣と付き合える」境界自治体が限定されている、という問題意識が提起されました。
次いで、そうした中で例外ともいえるケースとして、韓国と日本との接点である対馬における観光問題を花松GCOE研究員が行いました。九大韓国センター、九経調との合同プロジェクト「国境の街:上対馬の現状と課題」の中で花松研究員は、特に上対馬の調査に焦点を当て、個々の業者の努力はあるものの、受け入れ側の能力の限界(入管の処理、移動手段、土産物店の数、ホテル客室数)があり、地域活性化とどう結びつけることができるのか、という課題を示しました。
田村慶子(北九州大)報告「東南アジアの国境観光を考える」では、東南アジアにおける国境の高さが歴史的経緯から説明された後、タイ・ミャンマー国境のバーン・トンの少数民族村とシンガポール・マレーシア国境ジョホールバルのイスカンダル計画が事例として報告されました。いずれの場合も、資本の力に地元の文化やコミュニティが従属している問題点が存在します。
最後に浜桜子(MOツーリスト社)報告、「旧ソ連をめぐる国境旅行:旅行社の経験」では、旧ソ連諸国のビザ取得を中心としたこの地域独特の観光の難しさに言及がなされました。
討論者からは、観光学の立場として、「国境観光と海外旅行との違いは何か」、「観光客にとり国境観光の目的は何か」、といった「国境環境」という研究分野を確立する上で重要な質問が出されました。豊富な事例と相応しい討論が組み合わさった本セミナーは新しい研究のブレインストーミングの場として非常に有意義であったと思われます。
会場は50名余の参加者で占められ、国外観光客に少なからず依存する北海道の関心の高さを反映したものとなりました。