Border Tourism: Comparative Studies beyond the Continents (2013年12月13日)参加記
2013/12/16
2013年12月13日、世界各地の国境観光を比較する研究イベント、Border Tourism: Comparative Studies beyond the Continents が開催されました。
本イベントはスラブ研究センター冬期シンポジウム枠内の1セッションであり、報告、討論ともに英語で行われました。
まず司会の岩下明裕氏が、新たにUBRJ(境界研究ユニット)内で立ち上げられた国境観光プロジェクトの意義を述べ、日本での実例として、対馬が挙げられました。
報告では まず、セルゲイ・ゴルノフ氏(タルトゥ大、エストニア)が、EU・ロシア間の国境観光の現状を、統計データと個々の事例とを交えて論じました。
特に、ロシア人観光客のシェンゲン・ビザ取得、入国審査の問題に焦点が当てられ、EU圏でしばしば入国を拒否されるロシア人観光客が、厳しいビザ管理を潜り抜けるためネット上のフォーラムを通じて知識を共有している様が、紹介されました。次いで、トマス・クエバス氏(シウダー・フアレス大)が、国境間が競争的から補完的になり、統合の度合いが強まっている成功例として、米墨間の国境観光、すなわちアメリカ人観光客に対するシウダー・フアレスの地方政府および地元ビジネス側の取り組みが紹介されました。統計上、日帰り客が全体の2/3を占める中、シウダー・フアレス側が、アメリカ人観光客に快適に観光をしてもらい、かつお金を落としてもらうかに工夫を凝らしている様やイメージアップのために多額のメディア費が投入されていることが挙げられました。最後に、田村慶子氏(北九州大)が、近年、国境観光が隆盛している東南アジアの事例が紹介されました。タイ・ミャンマー国境のバーン・トンの山岳民族村とシンガポール・マレーシア国境ジョホールバルのイスカンダル計画が事例として報告されました。両方の事例も、地元は経済的に活況するものの資本に地元の文化・コミュニティが従属している問題点が指摘されています。
討論者からは、近代国家と国際秩序の産物として国境観光が位置付けられること、そして3報告が、国境観光が相互理解と、相互利益に基づく好例であるとのコメントがなされました。
1.Sergey Golunov (University of Tartu)
"Tourism across the EU-Russian border: Official Strategies vs Unofficial Tactics"
2.Tomás Cuevas(Autonomous University of Ciudad Juárez, Mexico)
"The Pink Store: A unique tourism enterprise at the US-Mexico border"
3.Keiko Tsuji Tamura (The University of Kitakyushu)
"Border Tourism in Southeast Asia:Thailand-Myanmar and Singapore-Malaysia Borders"
本イベントはスラブ研究センター冬期シンポジウム枠内の1セッションであり、報告、討論ともに英語で行われました。
まず司会の岩下明裕氏が、新たにUBRJ(境界研究ユニット)内で立ち上げられた国境観光プロジェクトの意義を述べ、日本での実例として、対馬が挙げられました。
報告では まず、セルゲイ・ゴルノフ氏(タルトゥ大、エストニア)が、EU・ロシア間の国境観光の現状を、統計データと個々の事例とを交えて論じました。
特に、ロシア人観光客のシェンゲン・ビザ取得、入国審査の問題に焦点が当てられ、EU圏でしばしば入国を拒否されるロシア人観光客が、厳しいビザ管理を潜り抜けるためネット上のフォーラムを通じて知識を共有している様が、紹介されました。次いで、トマス・クエバス氏(シウダー・フアレス大)が、国境間が競争的から補完的になり、統合の度合いが強まっている成功例として、米墨間の国境観光、すなわちアメリカ人観光客に対するシウダー・フアレスの地方政府および地元ビジネス側の取り組みが紹介されました。統計上、日帰り客が全体の2/3を占める中、シウダー・フアレス側が、アメリカ人観光客に快適に観光をしてもらい、かつお金を落としてもらうかに工夫を凝らしている様やイメージアップのために多額のメディア費が投入されていることが挙げられました。最後に、田村慶子氏(北九州大)が、近年、国境観光が隆盛している東南アジアの事例が紹介されました。タイ・ミャンマー国境のバーン・トンの山岳民族村とシンガポール・マレーシア国境ジョホールバルのイスカンダル計画が事例として報告されました。両方の事例も、地元は経済的に活況するものの資本に地元の文化・コミュニティが従属している問題点が指摘されています。
討論者からは、近代国家と国際秩序の産物として国境観光が位置付けられること、そして3報告が、国境観光が相互理解と、相互利益に基づく好例であるとのコメントがなされました。
1.Sergey Golunov (University of Tartu)
"Tourism across the EU-Russian border: Official Strategies vs Unofficial Tactics"
2.Tomás Cuevas(Autonomous University of Ciudad Juárez, Mexico)
"The Pink Store: A unique tourism enterprise at the US-Mexico border"
3.Keiko Tsuji Tamura (The University of Kitakyushu)
"Border Tourism in Southeast Asia:Thailand-Myanmar and Singapore-Malaysia Borders"