スラブ研究センターニュース 季刊 2005年 冬号 No.100 index

研究の最前線

 

2004年度冬期国際シンポジウム開かれ る

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今回はセンター大会議室でおこなわれたセッション

スラブ研究センターは恒例の冬期国際シンポジウムを12月8日から10日の3日間にわたって開催しました。このシンポジウムの題 目は「スラブ・ユーラシア と隣接世界の再編 Reconstruction and Interaction of Slavic Eurasia and Its Neighbouring Worlds 」であり、同センターが中核組織となって遂行中の21世紀COE プログラム「スラブ・ユーラシア学の構築:中域圏と地球化」の研究報告会を兼ねておこなわれました。また同プログラムの事業である若手研究者国際ワーク ショップも同時開催されました。

今回のシンポジウムの眼目は昨年度の冬期シンポジウムで国際的に発信した「新しいスラブ・ユーラシア学の構築」という問題提起を 具体的に論じ、より広範な 議論を喚起することでした。同COEプログラムでは「中域圏Meso-Area 」という新しい地域分析概念を提示し、従来の冷戦型・固定型の地域認識から方法論的に脱却することが目指されています。つまり地域を固定的な領域とみるの ではなく、多様な要因に基づく柔軟、かつ可変な認識枠として設定しようと考えています。冷戦以後、国際秩序は大きく流動化し、既存の地域枠組は「脱 ・・」、「ポスト・・」、「・・ の再編・再構築」、「トランス・・・」、「クロス・ボーダー・・ 」、「サブ・・・」等として表現されるようになっています。これらの研究対象認識は個別的な問題状況を分析するには有効ではありますが、変容する地域の全 体像を捉えるには断片的です。中域圏は断片化、個別化した地域認識と地域研究を概念的に再構築するための方法論的な仕組みです。

今回のシンポジウムでは以上のことを念頭におき、一方で包括的にスラブ・ユーラシアを論じるための方法論志向のセッションが設定 されると同時に、他方で個 別具体的な地域に即して、従来の地域概念の再検討(「東欧中域圏」セッション、「ロシアの中のアジア/アジアの中のロシア」セッション)、地域認識の新し い視角(「ロシアへのまなざし」セッション)、国民意識と地域意識の緊張的関係(「ルーマニア」セッション、中央ユーラシア関係セッション)等の議論がな されました。海外からはロシア、ドイツ、イギリス、ルーマニア、ハンガリー、アメリカの研究者9名が参加しました。

さらに今回のシンポジウムではセンターが新たに締結した国際学術交流協定を記念する特別セッションも設けられました。すなわちセ ンターは従来の交流をさら に発展させるべく、オックスフォード大学ロシア・ユーラシア研究センターと研究と若手研究者育成に関する相互支援の取り決めをおこない、今回のシンポジウ ムに同センター長のアレックス・プラウダ氏を特別講演者として招きました。同氏はロシア政治外交の専門家として世界的に知られており、今回は「プーチン政 権の展望」と題して、第二期プーチン政権を現代ロシア政治全体の中に位置づける意欲的な試みがなされました。この特別講演には副学長の中村研一氏が臨席 し、その後のレセプションで協定締結を祝うスピーチをおこない、北海道大学とセント・アントニー校の間の長年にわたる多彩な学術交流の歴史が披露されまし た。 国際シンポジウムのプログラムは以下のとおりです。また来年のセンター主催国際シンポジウムは、夏期については7月7~9日を会期として中央ユーラシアに 焦点を当て、また冬期については東欧に焦点を当てて12月初旬にそれぞれ開催されます。

[家田]
2004年度 スラブ研究センター冬期国際シンポジウム
スラブ・ユー ラシアと隣接世界の再編
2004年12月 8日(水)~ 10日(金)
会場:北海道大学スラ ブ研究センター
12月8日(水)
[日本語セッション]
10:00-12:00
第1セッション: 東欧中域圏
報 告者:
志摩園子 (昭和女子大学):

「地域空間 としての「バルト」の醸成と変容」

菅原淳子 (二松学舎大学) :

「バ ルカンにおける空間認識」
討論者:
月村太郎(神戸大学)
司会:
林忠行(SRC)  

13:30-15:30
第2セッション : 「ロシアの中のアジア/アジアの中のロ シ ア」
報 告者:
天野尚樹 (北海道大学・院):

「帝政期ロ シアの領域認識:心象地理のなかのサハリン」

塚田力 (北海道大学・院) :

「中国 ホロンバイル盟における正教古儀式派(1920-1950年代)」
討論者:
西山克典(静岡県立大学)
伊賀上 菜穂(大阪大学)
司会:
原暉之(SRC)  

15:45-18:00
第3セッション : 20世紀ロシア文化へのまなざし(仮 題)
報 告者:
大須賀史和 (神奈川大学):

「亡命宗教 哲学者の見た悪夢
‐И. イリイン『力による悪への抵抗について』をめぐる議論とその周辺‐」

鴻野わか菜 (千葉大学) :

「“芸術”後 の芸術:ロシア1974-2004」

高橋健一郎 (札幌大学) :

「「ソ ビエト語」の言説空間:1930年代の大衆歌をめぐって」 (04.11.29改訂)
討論者:
浦雅春(東京大学)
司会:
沼野充義(東京大学)

12月9日(木)

10:00-12:00
第4セッション: 「プーチン政権下のロシア政治」
報 告者:
ヘンリー・ヘイル (インディアナ大学/米国):

「制度と移 行:ロシア連邦とウクライナ」

イリダール・ガブドラーフィコフ (ロシア科学アカデミーウファ学術センター) :

「プーチン下のバシコルトスタン政治:権威主義体制の崩壊、それとも新たな指針 の模索?」
討論者:
藤森信吉(SRC)
司会:
岩下明裕(SRC)  

13:30-15:45
第5セッション: 「スラブ・ユーラシアにおける地域統合 の諸相:多様性とダイナミズム」
報 告者:
クラウス・ゼグベルス (ベルリン自由大学/ドイツ):

「地域研究と比較分析:両者の平和共存は可能か?」

アレクセイ・ヴォスクレセンスキー (モスクワ国 際関係大学/ロシア) :

「ロシアにおける地域研究とユーラシア再建における歴史分析の手法」

家田修 (SRC) :

「東欧におけ る地域意識:再建それとも喪失」
討論者:
南塚信吾(法政大学)
司会:
皆川修吾(愛知淑徳大)

16:00-17:15
第 6セッション: 「オックスフォード大学ロシア・ユーラ シア研究センター・北海道大学スラブ研究センター 学術交流協定締結記念講演 」
講 演者:
アレックス・プラウダ (オックスフォード大学/英国):

「プーチ ン指導体制の展望」
司会:
田畑伸一郎(SRC)  


18:00-20:00
レセプション(アスペンホテル)

12月10日(金)

10:00-12:15
第7セッション: 「中東欧の地域統合とルーマニア」
報 告者:
ゾルターン・カントール (テレキ・ラースロー研究所/ハンガリー) :

「地位法 症候群と地域/国民意識:ハンガリー、ルーマニアのハンガリー人、ルー マニア」

スティーヴン・ローパー (米空軍大学/米国) :

「教育の政 治化:モルドヴァとトランスニストリアのアイデ ンティティ形成」

コンスタンティン・ヨルダキ (中欧大学/ハンガリー) :

「ポ スト共産主義の中東欧における市民と国民形成」 (04.12.6改訂)
討論者:
六鹿茂夫(静岡県立大学)
司会:
上垣彰(西南学院大学)

13:45-14:45
第8セッション: 「中央ユーラシア諸地域の宗教機関と ネットワーク」
報 告者:

ポール・ワース (SRC) :

「アルメニ ア教会首長とロシア帝国権力の投射」
討論者:
吉村貴之(日 本学術振興会)
司会:
帯谷知可(国立民族学博物館)

15:00-17:00
第9セッション: 「コーカサスの地域再編と権力、アイデ ンティティ」
報 告者:
前田弘毅 (SRC):

「コーカサ スにおけるサファヴィー朝イランの強制移住政策と地域秩序の再編」

ヴィクトル・シュニレルマン (SRC) :

「命名の政治:北コーカサスにおける統合と分離の間」
討論者:
北川誠一(東北大学)
森本一夫(東京大学)
司会:
小松久男(東京大学)


ブダペスト国際シンポジウム「地位法症候群:ポスト共産主義の国民形成、あるい はポスト近代の市民権」の開催

 2004年10月14~6日、21世紀COEプログラム「スラブ・ユーラシア学の構築」が主催して、国際シンポジウム「地位法症候群:ポスト共産 主義の国民形成、あるいはポスト近代の市民権」がブダペストの科学アカデミーにおいて開催されました。現地で共催したのはハンガリー科学アカデミーに属す る法学研究所及び少数民族問題研究所、そしてテレキ・ラースロー研究所の三機関でした。

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会場のハンガリー科学アカデミー法学研究所

この国際会議は科研費研究「東欧における地域社会形成と拡大EUの相互的影響に関する研究」(研究代表者:家田修)における研究成果、および『ハンガリー 地位法:国民形成、あるいは少数民族保護』の出版企画に伴う国際共同研究が基礎になって準備されました。この出版企画はやはり21世紀COEの欧文出版シ リーズSlavic Eurasian Studiesの第4巻として出版されましたが、ブダペスト会議の報告者の半数はこの著作の寄稿者 でもありました。会議にはドイツ、オーストリア、ギリシャ、イタリア、オランダ、ルーマニア、トルコ、イギリス、インド、アメリカ、ハンガリー、そして日 本から合計24名が報告者として参加し、6つのセッションが設けられました。事前の報告論文提出、会議テーマの凝集性、セッションごとの主題設定など、主 催者側の準備や参加者の意欲的な貢献によって、会議は非常に質の高いものとなりました。イギリスからの参加者が「今回の会議は自分が出席した国際会議の中 で最も質の高い会議でした。参加者の全てがこの主題の専門家であり、出席した誰もが会議に貢献し、そして誰もが何か新しいものを得ました」と感謝のメール を寄せてくれましたが、同様の批評がほとんどの参加者の口から伝えられました。

今回の会議では世界に向けて報告を公募するという新機軸も打ち出し、多くの応募者の中から審査によって4名が報告として選出されました。また今回の会議に は欧州の国際機関も強い関心を示し、全欧安保協力機構OSCEのウイーン支部からは地位法担当の専門家が報告者として参加しただけでなく、陪席参加もあり ました。地元の報道機関では有力日刊紙「マジャール・ネムゼト」が見開き2頁分を使って会議の様子を伝える記事を掲載しましたし( Magyar Nemzet, 30 November 2004)、ハンガリーの衛星放送局となっているドゥナ・テレビが10分ほどのニュース特集として会議の様子や主要参加者へのインタビューを放映しまし た。この映像はインター・ネットでも配信され、< http://www.dunatv.hu >のPanorama, 18 October 2004で見ることができます。

今回の会議の報告は近く論文集としてまとめられ、Slavic Eurasian Studies として刊行予定です。会議プログラムは以下のとおりでした。

[家田]

The Status Law Syndrome: Post-Communist Nation-Building or Post-Modern Citizenship?

Thursday, 14 October 2004
10:00-
Opening Remarks: Osamu Ieda (Hokkaido University, Sapporo)


Session 1. The Status Law and nation Politics (Chair: Osamu Ieda)
10:15-10:30
Brigid Fowler (University of Birmingham): The Status Law in European Context
10:30-10:45
Zoltán Kántor (Teleki Institute, Budapest): The Uses (and misuses) of the Concept of Nation in the ECE 'Status Laws'
10:45-11:00
Maria Kovacs (Central European University, Budapest): Autonomy and Double Citizenship
11:00-11:15
Stephen Deets (Miami University of Ohio): The Hungarian Status Law and the Spectre of Neo-Medievalism in Europe
11:15-12:00
Discussion Time


Session 2. International Approaches (Chair: Viktor Masenkó-Mavi, Institute of Legal Studies, HAS, Budapest)
12:15-12:30
Walter Kemp (Office of the Secretary General of the OSCE, Vienna): The Triadic Nexus: Lessons Learned from the Status Law
12:30-12:45
Judit Tóth (Minority Studies Institute, HAS, Budapest): Kin-Minority, Kin-State and Neighbourhood Policy in the Enlarged EU
12:45-13:00
Herbert Küpper (Institute for East European Law, München): From the Status Law to the Initiative for Dual Citizenship: Aspects of Domestic Hungarian and International Law
13:00-13:15
Balázs Majtényi (Institute of Legal Studies, HAS, Budapest): Utilitarism in Minority Protection (Status Laws and International Organizations)
13:15-14:00
Discussion Time


Session 3. Comparative Aspects (Chair: Dimitras Panayote, Greek Helsinki Monitor)
15:00-15:15
Sherrill Stroschein (Weatherhead Center, Harvard University, Cambridge MA): Weber, Territory, and the Status Law: Time for New Assumptions?
15:15-15:30
Zsuzsa Csergo and James M. Goldgeier (George Washington University, Washington D.C.): Virtual Nationalism in Comparative Context: How Unique Is the Hungarian Approach?
15:30-15:45
Iván Halász (Institute of Legal Studies, HAS, Budapest): Models of Kin-Minority Protection in Eastern and Central Europe
15:45-16:00
Amitabh Singh (Jawharlal Nehru University, New Delhi): Hungarian Status Law: A Model for Kin-Minority Protection in Post Communist Societies
16:00-16:15
Natsuko Oka (Institute of Developing Economies, Chiba, Japan): Kin-Minority Protection in Central Asia
16:15-17:00
Discussion Time


Friday, 15 October
Session 4. Socio-Cultural Implication of the Status Laws (Chair: George Schöpflin, University College London)
10:00-10:15
Osamu Ieda: Ideological Background of the Status Law Controversy in Hungary
10:15-10:30
Tjeerd de Graaf (Frisian Academy, Ljouwert/Leeuwarden, The Netherlands): The Specific Situation of Ethnic Minority Group in the Soviet Union. The Mennonites and Their Relation with the Netherlands, Germany, Poland and Russia
10:30-10:45
Nigel Swain (The University of Liverpool, Liverpool): The Innocence of Article Eighteen, Paragraph Two, Subsection E.
10:45-11:00
András László Pap (Kodolanyi College, Székesfehérvár, Hungary): Minority Rights and Diaspora Claims: Collision and Interdependence
11:00-11:45
Discussion Time


Session 5. The Status Law and the EU (Chair: László Szarka, Minority Studies Institute, HAS, Budapest)
12:00-12:15
George Schöpflin: Beyond the Status Law: Hungary and the EU
12:15-12:30
Gabriel von Toggenburg (European Academy, Bolzano/Bozen): What Status for 'Status Laws' in the Postnational EU Market?
12:30-12:45
Balázs Vizi (Minority Studies Institute, HAS, Budapest): Cross-border Minority Protection and European Integration
12:45-13:00
Helge Hornburg (Faculty of Law, Technical University, Dresden): The Relationship of Kin-State/Kin-Minority Legislation and European Community Law, Especially the Prohibition of Discrimination
13:15-14:00
Discussion Time


Session 6. 'Status Laws' in Europe and Beyond (Chair: Zoltán Péteri, Institute of Legal Studies, HAS, Budapest)
14:45-15:00
Constantin Iordachi (Central European University, Budapest): Dual Citizenship and National Policies in Post-Communist East-Central Europe: A Comparison between Hungary, Romania, and the Republic of Moldova
15:00-15:15
Özgür-Baklacioglu Nurcan (Faculty of Political Science, Istanbul University): Migration, Dual Citizenship and Nation-Building in Post-Cold-War Bulgaria and Turkey
15:15-15:30
Gábor Kardos (ELTE, Budapest): Prospect for Kin-States?;
15:30-15:45
László Szarka (Minority Studies Institute, HAS, Budapest): Slovak Reactions to the Hungarian Status Law
15:45-16:30
Discussion Time


Saturday, 16 October

Closed Workshop




客員教授・助教授募集

 センターでは、専任研究員と共に、日本の公私立大学・国立大学等に所属する客員教授・助教授が研究活動をおこなっています。2005年度について は、以下の要領で募集いたします。

  1. 応募資格:人文・社会科学の諸分野でスラブ・ユーラシア地域を研究する者。
    2005年4月1日現在63歳未満で、日本の公私立大学の教授および助教授、または大学に属さないが教授・助教授と同等の能力を有すると認められる者。
  2. 募集人数:3名。
  3. 勤務条件:任期は原則として1年。再任もあり得る。2005年度に18日間程度(休日を除く)センターに滞在する。非常勤講師手当および交通 費が支給される。
  4. 選考方法:選考は、応募者が提案するセンターでの研究プロジェクト(期間1年)の内容を考慮しておこなわれる。特に、センターの所蔵する資料 を活用した研究プロジェクトが歓迎される。
  5. 応募締切日:2005年2月28日(月)(必着)
  6. 選考結果通知:2005年3月下旬(予定)
  7. 発令予定年月日:2005年5月1日(予定)
  8. 提出書類:研究プロジェクト名とその概要(A4版1枚、様式自由)、履歴書、研究業績一覧(※提出していただく書類は返却しません)
  9. 提出先及び問い合わせ先
    〒060-0809
    札幌市北区北9条西7丁目北海道大学スラブ研究センター事務掛
    TEL: 011-706-3156, FAX: 011-706-4952, E-mail:src@slav.hokudai.ac.jp


中東欧=日本21世紀フォーラム「西と東における地域 統合:挑戦と対応」開催さ れる

日本21世紀フォーラム「西と東に おける地域統合:挑戦と対応」が昨年9月16~18日にブラチスラヴァで開催されました。これは、国際交流基金の日欧国際会議助成による事業で、同フォー ラムという枠組みでは一昨年9月に札幌で開催された会議に続くものということになります。今回は、スロヴァキア対外政策協会の研究センターとスラブ研究セ ンターの共催という形をとり、中東欧側から8ヵ国14名が報告者として参加し、主に欧州統合と欧州の安全保障問題を論じ、日本側からは中東欧を専門とする 伊東孝之、六鹿茂夫、上垣彰、池本修一、末澤恵美、家田修、林忠行がそれに対応する報告をおこなうとともに、今回はアジア国際関係を専門とする田村慶子、 岩下明裕がアジアにおける国際関係の事例を題材とする報告をおこないました。スロヴァキア側の開催責任者となった A.ドゥレバ氏の努力の結果、初日の開会式では、E.クカン外相、副島豊次郎大使から挨拶をいただくことになりました。また、参加者は同外相主催のレセプ ションにも招かれ、外相をはじめとするスロヴァキア外務省幹部と意見交換をする場を持つことができました。この会議の報告集は間もなく出版される予定で す。

[林]

Rangsimaporn,Paradorn氏の滞在

昨年締結された英国オックスフォード大学ロシア・ユーラシア研究センターとの交流協定に基づいて、同大学の大学 院生、 Paradorn Rangsimaporn氏を2005年2月から約2ヶ月間センターで受け入れることになりました。氏の研究課題は「東アジア地域の安全保障に関するロシ アの認識と対処(1996-2003)」、受け入れ教官は岩下明裕です。

[編集部]

2005-2006年度COE=鈴川基金奨学研究員募集(予告)

鈴川正久氏のご寄付により1987年に発足した鈴川基金の奨励研究員制度を利用して、これまでに多くの大学院生がセンターに滞在し、センターおよび 北大附属図書館の文献資料の利用、センターで開催されるシンポジウム・研究会への参加、センターのスタッフとの意見交換をおこない、実りのある成果を挙げ てきました。21世紀 COEプロジェクトが発足したのにともない、2007年度までの間は、「 COE=鈴川基金奨励研究員」という名称で奨学研究員の募集をおこないます。 募集は若干名とし、助成対象者は原則として博士課程後期以上の大学院生です。助成期間は1週間以上3週間以内です。募集の開始は2月中旬頃、締め切りは4 月末を予定しています。募集要項・応募用紙をご希望の方はセンターまでご連絡ください。なお、募集要項・応募用紙はセンターのホームページでも参照および ダウンロードできます。

[原]

専任研究員セミナー

2004年9月から12月にかけて専任研究員セミナーが1件、開催されました。
11月8日 家田修 "Ideological Background of the Amandment Status Law Controversy in Hungary"
外部討論者:平田武(東北大学法学部)
家田報告は、2004年10月にブダペストで開催されたハンガリー「地位法」に関する国際シンポジウムで提出されたペーパーによるものです。報告は二つの 部分に大きく分かれ、前半部分は、2003年6月におこなわれた「地位法」の修正について、その内容の詳細な解説にあてられています。後半部分では、この 「地位法」修正をめぐりハンガリーの諸政党が示した対応について、欧州統合と「新国民形成」(分離主義や領土修正要求を伴わずに国境を越えた国民統合)と いう二つの統合プロセスの観点から分析が試みられています。外部討論者を含めた参加者の討論は、主として多くの論争点を含む後半部分をめぐっておこなわれ ました。

[山村]

研究会活動

 ニュース99号以降の北海道スラブ 研究会およびセンター研究会の活動は以下の通りです。

[大 須賀]
10月21日

L.ムハリャモヴァ(カザン医科大、ロシア)


「タタール語のラテン文字表記への 移行をめぐって:言語主権の放棄」(センター研究会)
10月27日

A.マルチュコフ(ロシア科学アカデミー言語学研究所)


"Russian Interference in Tungusic Language" (SES-COEセミナー)
11月1日

A.ウシャコフ(モスクワ消費共同組合大、ロシア)


「内戦に関する現代ロシアの歴史叙述」(センター研究 会)
11月8日

P.ミナーキル(ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所)


「ロシアにおける市場への転換の空間的アスペクト」」

N.ミヘーエヴァ(一橋大)


「ロシア極東地域の産業連関表の統計的評価」(SES-COEセミ ナー)
11月11日

P.ミナーキル(ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所)


「ロシア極東管区における経済発展の方向と問題点」 (北海道スラブ 研究会)
11月17日-19 日 露領アメリカセミナー 

A.グリニョフ(サンクトペテルブルク労働組合人文大、ロシア/21世紀 COE外国人研究員)


「露領アメリカ、そしてロシア史を理解する鍵としての ポリタリズム」


「先住民、プロムィシュレンニキ、露米会社:経済的相 互作用のシステム」


「アラスカをめぐる19世紀の国際関係」(SES- COEセミナー)



11月18日-19 日 SES-COE=国際広報メディア研究科共催セミナー  


M.ビラン(ダーラム大、英国)


"Language Learners as Ethnographers and Teachers as Educators" "The Council of Europe and Language Education Policy"
11月29日

藤森信吉(センター)


「2004年ウクライナ大統領選挙:OSCE選挙監視 団体験記」 (昼食懇談会)
12月6日

A.ヴォスクレセンスキー(モスクワ国際関係大、ロシア)


"China and Russia" (SES-COEセミナー)
12月12日

C.ヨルダキ(中欧大、ハンガリー);Z.カーントル(テレキ研究所、ハンガリー)


「ルーマニアと中欧地域意識」(SES-COEセミナー)
1月4日

宇山智彦(センター)


「ウズベキスタン議会選挙監視体験記」(昼食懇談会)
1月22-23日 「スラブ・ユーラシアの比較政治経済学:体制転換とそ の後」研究会

仙石学(西南学院大)


「中東欧諸国の体制転換:比較政治学の視点から」

池本修一(日本 大)


「チェコの経済体制転換をふりかえる」

松里公孝(センター))


「二 つの型と二つの例外:旧社会主義諸国の体制転換」

藤森信吉(センター))


「ウクライ ナ政治と2004年大統領選挙」

小森宏美(国立民族学博物館)


「体制変動と政治参加:エストニアを事例として」

須田将(北大・院))


「ウズベキスタンの権 威主義体制について」
1月24-26日 「ヨーロッパ辺境にあるロシア人:ロシア帝国の心象地 図」セミナー

L.ゴリゾントフ(ロシア科学アカデミースラブ研究所/21世紀COE外国人研 究員)


「心象地図と帝国の地域学(セミナー序論):北部の概念」


「ロシア 帝国の家におけるヴォルガ地方とウラル」


「ノヴォロシアの形象。時間と空間の旅の総括」(SES-COEセ ミナー)
1月27日 「地域研究と中域圏フォーラム」第5回研究会

林忠行(センター)


「『東欧研究』に明日はあるのか?:Area StudiesとRegional Studiesの狭間で考える」(SES-COEセミナー)
1月27日 「地域研究と中域圏フォーラム」第5回研究会

林忠行(センター)


「『東欧研究』に明日はあるのか?:Area StudiesとRegional Studiesの狭間で考える」(SES-COEセミナー)
1月31日 第9回「ロシアの中のアジア/アジアの中のロシア」研 究会 

永山ゆかり(北大・院)


「カムチャッカ北部のアリュートルとその言語:文字のない言語を調 査する」

山越康裕(北大・院)


「移住が引き起こした言語変化:シネヘン・ブリヤート語とハムニガ ン・モンゴル語の事例から」
2月1日

O.バラノヴァ(ブリャンスク大、ロシア)


「17世紀後半から18世紀前半にかけてのロシア・ウクライナ関係 の法的側面と政治的実態」(SES-COEセミナー)
2月4日

A.ブローディン(イェーテボリ大、スウェーデン)


"Siberia and the Far East: Ruled by Moscow or to Become a Part of Asia?"(SES-COEセミナー)

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