村上 隆
◆ 大学院教育の開始について ◆
スラブ研究センターは、今年度から、懸案であった大学院教育を開始しました。文学部の大学院重点化にともない、新しい大学院文学研究科の歴史地域文化論専攻の中に、スラブ研究センターの研究部専任研究員全員で構成される協力講座が設置され、教育組織の単位としては「スラブ社会文化論専修」という名称で教育をおこなうことになりました。ここではディシプリンという境界を越えた総合的なスラブ地域学の教育を目差します。
今年度の学生募集は旧制度の枠組みでおこなわれたので、スラブ社会文化論専修という単位での募集は出来ませんでしたが、それでも旧制度の西洋史学とロシア文学の枠で合格した修士課程の学生3名がスラブ社会文化論専修に移籍したので、今年度からセンターも学生を持つことになりました。来年度の入試についてはセンターと文学研究科のホームページを参照してください。[林]
◆ 2000年度夏期国際シンポジウム ◆
《ロシア文化:新世紀への戸口に立って》開催予告
7月12日(水)〜14日(金)の3日間、恒例のセンター夏期国際シンポジウムが開催されます。今回の総合テーマは「ロシア文化:新世紀への戸口に立って(Russian
Culture on the Threshold of a New Century)」。新時代のロシア文化の特徴と意味を、思想、表現、コミュニケーションの諸ジャンルの視点から、多面的に解読しようというねらいです。使用言語はロシア語か英語ですが、報告者の顔ぶれからロシア語主流の会になりそうです。現段階で予定されている催しは以下の通り。
7月12日(水)午後(北大クラーク会館ホール)
特別公演・パフォーマンス「詩の言葉・音楽の言葉」
D.プリゴフ(ロシア/詩人);B.グレベンシチコフ(ロシア/歌手)
7月13日(木)・14日(金)報告(仮題も含む、時間割未定、会場はすべてセンター)
第1セッション「ロシア文化のパラダイム」
K.アイメルマッハー(ドイツ/ルール大)「ロシア文化の新パラダイム?」
D.プリゴフ「ヨーロッパの4大社会文化プロジェクトの完成」
第2-1セッション「小説の可能性」
B.ラーニン(ロシア/教育学アカデミー)「現代文学における歴史オールタナティヴ」
沼野恭子(東京外語大)「地上の女シャマーラ、天上の女ドゥーロチカ」
亀山郁夫(東京外語大)「現代ロシア文学の身体」
第2-2セッション「現代音楽」
鈴木正美(稚内北星学園大)「セルゲイ・クリョーヒンと1980-90年代の前衛音楽」
安原雅之(山口大)「ウストヴォーリスカヤとロシア音楽」
梅津紀雄(東京大)「ショスタコーヴィチとシュニトケ」
第3セッション「映像と文化」
V.アルセーニエフ(ロシア/NTV映画)「ロシア映画・テレビの現在」
西周成(全ロ国立映画大院卒/映画監督)「ロシア映画製作の現状」
第4セッション 「演出される言葉」
V.ソローキン(ロシア/作家)「文学の言葉、劇の言葉」
楯岡求美(神戸大)「変異する言葉:演劇と演出の位相」
V.グレチコ(ドイツ/ルール大)「アヴァンギャルドの言語思想実践」
第5-1セッション「新環境の中の文学」
井桁貞義(早稲田大)「インターネット上の芸術表現:ロシアの場合」
V.スモレンスキー(会津大)「ロシアのネット文学」
E.ヴラーソフ(北海道開発問題調査会)「文学テキストへのマルチメディア版注釈」
第5-2セッション「言語と現代思想」
大須賀史和(東京外語大)、北見諭(早稲田大)「シンボル論と言語哲学」
柿沼伸昭(東京大)、木部敬(東京外語大)「神話と論理」
第6セッション 「ロシアとアジア」
A.ゲニス(アメリカ/評論家)「ロシア文学における老子:現代文化の東方戦略」
S.ラコヴァ(アブハジア/人文科学研)「フレーブニコフと東洋」
中村唯史(山形大)「90年代ロシア文学におけるコーカサス」
なおプログラムの最終決定は5月初旬になる見込みです。[望月]
◆ センター1999年度冬期シンポジウム ◆
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セッション5-1のようす |
◆ 公 開 講 座 ◆
《新千年紀を迎えたユーラシア、体制転換10年》
平成12年度のセンターの公開講座は、社会主義諸国の崩壊後10年を経た今日、スラブ・ユーラシア地域の経験を概観する意味で、下記の講義日程が組まれています。4月28日まで受講募集をおこなっています。[皆川]
第1回 5月 8日(月) | エリツィン後のロシア政治 |
皆川修吾 (センター) |
第2回 5月 11日(木) | 負けそうで負けないクチマ:ウクライナ政治と1999年大統領選挙 |
松里公孝(センター) |
第3回 5月 15日(月) | 第2次チェチェン戦争の行方:コーカサスにおける文明の衝突? |
北川誠一(東北大学) |
第4回 5月 18日(木) | ロシアは世界経済にどう組み込まれるのか |
田畑伸一郎(センター) |
第5回 5月 22日(月) | バルカンに砲声止む日は来るのか:コソヴォ空爆とクロアチアの政変 |
千田善(ユーゴ研究者) |
第6回 5月 25日(木) | 中国の大国化、ロシアの混迷の下で極東の安全保障はどうなる |
岩下明裕(山口県立大学) |
第7回 5月 29日(月) | 「イスラーム原理主義」は中央アジアを席巻するか | 宇山智彦(センター) |
◆ 2000年度COE短期外国人研究員の紹介 ◆
以上の3名は、計52名の応募者の中から選ばれました。ヒッキー氏は新進気鋭のロシア史研究者です。ラコバ氏は、ロシアとグルジアの間で紛争が生じているアブハジア共和国在住の歴史学者で、1990年代前半にはアブハジア議会の副議長を務められた方です。ブスイギナ氏は、現在若手で注目されている政治地理学者です。これらの方々との研究交流をご希望の方はセンターまでご連絡下さい。
なお、センターでは、来年度滞在されるCOE短期外国人研究員についても、次の要領で公募をおこなう予定です。
滞在期間:2001年6月から2002年3月までの間の3ヵ月から5ヵ月の期間
応募締切:2000年9月30日
採用通知:2000年12月下旬(最終的には2001年3月)
応募用紙は5月末までに準備されます。応募要領は、センターのホームページでもご覧になれます。[田畑]
◆ 2001年度長期外国人研究員公募締め切る ◆
◆ サハリンの『開発と環境』に関するMONBETU-2000シンポジウム ◆
紋 別 で 開 催
シンポジウムの様子 |
◆ ノヴィク氏、ボグダノヴィチ君が滞在 ◆
◆ 専任研究員セミナー ◆
日本人拉致事件が起きた1999年夏の現地調査を足がかりにイスラームと政治の複雑な関係を探った宇山報告、資料(書簡)紹介によってピウスツキ(兄)の生涯を執念深く追い続ける井上報告、多数の作品を分析しながらドストエフスキーの存在の大きさと現代文学のおもしろさを明らかにした望月報告、法律制定過程の背後に見える日本の法文化の問題に迫った上田報告、共に移行経済諸国の農業を扱いながら、法律面に着目した林報告と農業経営の面に着目した山村報告、と多様なペーパーが揃いました。しかしいかんせん年度末の駆け込みが多すぎ(1本は年度をまたいだ)、出張ラッシュとも重なって十分な出席者が得られないケースが目立ちました。2000年度はこのようなことがないよう心がけたいものです。[宇山]
◆ 研究会活動 ◆
1月 31日 | L.I.ガリャモワ(ロシア科学アカデミー極東支部極東諸民族歴史・考古・民族学研/ウラジオストク)「ロシア極東の社会経済発展(19世紀後半〜1917年)(ロシア語使用)」(センターセミナー) |
2月 14日 | T.ドウハ(農業経済研/チェコ)“Reform of the Czech Agriculture: Historical Background, Socio-Economic and Policy Implications”(センターセミナー) |
2月 18日 | リュー・クイリ(劉魁立)(中国社会科学院少数民族文学研/センター客員教授)「中国の少数民族としてのロシア人:東北部アルグン川流域の場合(ロシア語使用/通訳つき)」(北海道スラブ研究会) |
2月 23日 | M.エルマン(アムステルダム大/オランダ)“The Destruction of the Soviet Economic System 1985-91”(センターセミナー) |
3月 6日 | Z.マンスフェルドヴァー(チェコ科学アカデミー社会学研)“Social Dialogue and Industrial Relations: Actors and Strategies in the Czech Republic”;P. マホニン(同)“Theory of Modernization and the Czech Experience”(センターセミナー) |
◆ 本年度のCOE非常勤研究員 ◆
上記の方々はこれまでと同様にセンターの共同研究にかかわる補助業務を担当しながら、それぞれの研究を進めていただくことになります。
なお、昨年度に非常勤研究員として勤務された上田理恵子氏は熊本大学教育学部講師、久保久子氏は稚内北星学園大学情報・メディア学科助教授、楯岡求美氏は神戸大学国際文化学部講師として赴任され、研究・教育活動に携わることになりました。[大須賀]
◆ 客員教授・昇任 ◆
* * *
松里公孝助教授は、2000年3月1日付けで教授に昇任しました。[大須賀]
◆ 比較経済体制学会第40回全国大会 ◆
今年度の比較経済体制学会の全国大会、6月1日(木)〜6月3日(土)に名古屋学院大学「栄サテライト」 (名古屋市中区栄4-1-1中日ビル7階)で開催される。プログラムは以下のとおり。14:15〜17:15 共通論題T 「市場移行経済と外資導入」
基調報告 盛田常夫(野村総合研究所)「体制転換諸国への直接投資の現状と課題」
関連報告 笠原清志(立教大)「移行経済下での運動とコーポラティズム:ポーランドの場合」;筧武雄(横浜銀行)「中国対外直接投資から見た移行経済」;和田正武(帝京大)「中欧における産業構造の変化と外国直接投資」
6月3日(土) 共通論題U
「市場移行経済とセーフティ・ネット」
9:30〜11:30 基調報告
西村周三(京都大)「リスクシェアリングとしてのセーフティネットと資産・所得分配」;堀林巧(金沢大)「『1989年』以後の社会と社会政策:中欧を中心として」
12:30〜17:30 パネル・ディスカッション、全体討論
パネリスト 堀江典生(富山大)、水田明男(大阪外語大)、田口雅弘(岡山大)、吉井昌彦(神戸大)、木崎翠(横浜国立大)、小林甲一(名古屋学院大)
連絡・照会先:〒480-1298 瀬戸市上品野町1350番地 名古屋学院大学総合研究所
家本博一教授(電話 0561-42-0353 E-mail hiro@iemoto.com)
なお、より詳しいプログラムは、最近開設された同学会のホームページを参照されたい (http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/comparative/index.html)。[田畑]
◆ 第12回西日本地区ロシア・東欧研究者集会開催される ◆
3月4日に大阪大学大学院言語文化研究科の会議室で西日本地区ロシア・東欧研究者集会が開催された。同日午後1時から、仁井田崇氏(京都大・院)の「ニーチェ/正教/建神主義:ルナチャルスキーの政治思想的考察」、村知稔三氏(長崎大)の「ロシア共和国における『全員就園・無償・国営』の保育制度構想:1917-1928」、セルゲイ・トルストグーゾフ氏(広島大・院)の「帝政ロシア・ペレストロイカ・幕末日本の大変革の比較研究:財政の観点から」という報告と討論がおこなわれ、午後6時から場所を移して懇親会が持たれた。翌日恒例のエクスカーションでは、大阪大学の藤本和貴夫氏らの案内で国立民族博物館などを見学した。◆ 第13回ハプスブルク史研究会開催される ◆
3月21、22両日、東北大学川内北キャンパスでハプスブルク史研究会が開催された。渡辺竜太氏(東北大・院)の「チェコスロヴァキアにおけるドイツ人社会民主党と1928年のスミーホフ合同大会」、藤田恭子氏(東北大)の「マイノリティ文学としてのブコヴィナ・ドイツ語文学:その歴史と主要ドイツ語圏における受容状況」、兼子恵美氏(早稲田大・院)の「19世紀後半のオーストリアにおけるドイツ人自由派と反ユダヤ主義をめぐる問題」、佐藤勝則氏(東北大)の「統合ヨーロッパの一源流:ハプスブルク帝国」という報告と討論がおこなわれた。次回開催地は未定。問い合わせは大津留厚氏(神戸大)まで。[林]◆ 学会カレンダー ◆
2000年6月1〜3日 | 比較経済体制学会第40回全国大会(詳細は記事参照) |
6月28〜30日 |
“Central and Eastern European Economic Summit 2000”於Salzburg,
Austria 主催:World Economic Forum ホームページ:http//www.weforum.org/regional_netw.nsf/Documents |
6月29日〜7月1日 | “Three Centuries of Russian Humour and Satire”於The University of Nottingham, UK Eメール:lesley.milne@nottingham.ac.uk |
7月13〜14日 |
スラブ研究センター2000年度夏期国際シンポジウム“Russian Culture on the Threshold of a New Century” オルガナイザー: 望月哲男 tetsuo@slav.hokudai. ac.jp |
7月29日〜8月3日 | ICCEES(中・東欧研究世界学会)第6回大会 於タンペレ |
11月9〜12日 |
AAASS(米国スラブ研究促進学会)第32回全国大会 於コロラド州デンバー市アダムズ・マーク・ホテル |