サハリン北東部大陸棚の石油・ガス開発と環境W

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 それでは流出が起きて北海道沿岸が汚染された時に北海道に対してどのような被害が起きるだろうか、ということで宗谷海峡の西側で起た事故で北東風が吹いたために宗谷湾内とそれからオホーツク海沿岸の広範囲に汚染されたケースにつきまして被害額の想定を行ってみました。

 汚染の形態なんですが、宗谷海峡では、蒸発がだんだん進みながら拡散漂流を続けてまいりまして宗谷湾あるいは納沙布を超えてオホーツク海に入ってくるという状況になるわけです。宗谷湾内あるいは宗谷湾内の海岸には岩礁や砂浜の底質や海藻等に付着していくだろうというようなことです。日数が経過すれば波の作用で乳化が起こってムースみたいなものに変わっていくでしょう。それから稚内から枝幸の方にオホーツク海沿岸の方に下りていきますと、ある程度この辺では蒸発というのが進んでしまっているだろうとは思いますが、今度は徐々にムース化が進行しながら南東の方に沿岸に沿って下りて行きます。沖に出るのではなくて沿岸に沿って行きますので、海岸域への漂着とかあるいは汚染が非常に問題になってくるだろうと考えます。汚染の状況ですが、海岸線の地質がどんなふうに分布しているか、その比率を示してあります。100分率で示してまして一本一本の棒グラフの距離は沿岸方向1キロです。要は沿岸方向に1キロにずつ細かく切っていきまして、それぞれの1キロの中で海岸の土質といいますか地質がどうなっているのか、地形がどうなっているのか、というのをおよそ8つぐらいに分けたものを示しますと、石浜には玉石とか岩とか入ってまして、だんだんオホーツク海に入ってくると砂浜が多くなり、部分的にちょっと赤い石の玉石の海岸がちょっと入ってきます。枝幸町に行きますと玉石浜みたいな石浜が少しありますけれども、丁度稚内市からオホーツク海に入って枝幸町のあたりまでが汚染範囲になるんだろうというふうに考えております。この中では汚染の海岸の延長でだいたい128キロぐらいです。その内訳は砂浜が92キロくらいありまして、砂浜が主として汚染されるであろうということが予想されます。このまま網走支庁、斜里町の知床岬の先まで南下して地質を調べて整理しておき、留萌の方向の日本海側もあわせて増毛から南に向かって1キロごとに海底の地質を整理しておきまして、ゆくゆくは例えばセンシティブマップみたいなものとこれとリンクさせてデーターベースみたいなものにしてはどうかというふうに考えているところです。

 先ほどの汚染範囲をもとに水産業に対する被害というのがどのくらいに及ぶだろうかというのを検討してみました。いろいろ行われております漁業の漁期を月ごとに整理して書いたもので今回10月を想定してますのでここに相当する漁に対して直接的な影響が起きるだろうという形で検討を進めました。漁場が全部区画されて分かれておりまして、例えばイワシだと何番と何番と何番が漁場になっているというような関連付けが行われています。汚染範囲がどこからどこまでというのを重ね合わせまして、その漁場における漁業が影響を受けるだろうという形で汚染の被害を想定していった訳です。ここでその前に全般的な被害ということを考えてみたんですが、当然すぐ思いつくのが自然環境の被害で、それは海底の底質とか水質の汚染、それからあとは生物に対しては油にあって死亡してしまうものとか、あるいは産卵できなくなってしまうものとか特定の影響によって奇形が出たりといったようないろいろな問題が出てくるだろうと思われます。あるいはテレビ等では海の動物とか水鳥などへの汚染が非常にセンセーショナルに報道されるのですが、そういった動物への影響が出るだろうと思われます。同じく海に住んでなくても沿岸で魚を食べているような鳥類に対しても大きな被害が出るだろうと考えられます。漁業や水産業への被害とそれ以外にも背後圏域の経済的影響としては観光客の減少とかあるいはそれに関連する産業等への影響が十分に考えられます。あるいは港湾の物流機能等が低下していきますと、例えば港が汚染されてしまったり閉鎖されてしまった、港が使えなくなったとすると、離島への例えば物流機能が停止してしまうというような問題が出てきます。また港湾の物流を通じていろいろ企業活動を行っている産業への影響も当然出てきます。それから港湾には貨物船だけじゃなく漁船も入って来ますので、そういった漁船も利用できなくなってしまうというような問題が出てくるわけです。こういった直接的な油による被害の他に油で汚染されてしまうと回収作業を行うことになりますので、その費用もたくさんかかってくるということです。

 今回実はこの回収費用の主なものと水産業の中の直接的な被害額というのを算定してみたわけです。原油流出による水産被害としてどんなものがあるだろうかということで調べて、整理してみましたが、魚群散逸は魚の減少を招き海藻類が死滅してしまいます。それから油臭魚、要は魚の体内に芳香属とかあるいは脂肪族の化合物が入って油の匂いがしたり苦味が出たりというような問題です。それから漁具が汚損する。いろいろな問題で漁ができなかったり汚染されたり、あるいは防除活動に参加してて出漁ができなくなるというような問題があります。それ以外で養殖をやっているところがやられてしまうという問題もあります。


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