Eurasia Unit for Border Research (Japan)

Home > What's New Archives > UBRJセミナー「米軍基地・沖縄の境界」大盛況のうちに開催!

What's New Archives

Back to List

2014.10.23

UBRJセミナー「米軍基地・沖縄の境界」大盛況のうちに開催!

UBRJセミナー「米軍基地・沖縄の境界」大盛況のうちに開催!

 10月22日、『沖縄タイムズ』紙の元編集委員で、現在はフリーで沖縄の基地問題について意見発信をしておられる屋良朝博氏をお招きして、「米軍基地・沖縄の境界」と題するご講演をいただきました。平日の16時半からという時間帯にもかかわらず、37名もの参加があり、大盛況のうちに開催されました。
 屋良氏はこれまでも米軍海兵隊の沖縄配備の必要性についての「誤解」について訴えてきた方ですが、今回の報告では、米軍海兵隊が1956年に本州(岐阜・山梨)より沖縄に移転してきた経緯について(あくまで仮説であると断った上で)説明しつつ、では、現実に米軍海兵隊のプレゼンスがまさに沖縄にある必要があるのかという点について、日本国内で流布している言説と米軍(太平洋司令部)側が考えている安全保障についてのロジックが噛み合っていない実情について、分かりやすく説明していただきました。沖縄に配備されている米軍海兵隊、中でも洋上展開部隊は沖縄をスタート地点として6か月のローテーションで西太平洋をぐるっと一周しつつ人道支援や災害救援(HA/DR)に関連する業務に主に従事しており、沖縄、さらには日本にこの部隊の司令部・拠点がある必要はないこと。沖縄にある部隊は規模的にも1万人とか1万8千人とかいう数に過ぎず、極東有事の際には数十万人単位での部隊展開が必要であることに鑑みれば、一般に言われているような「有事の備え」にはまったくなっていないこと、このような説明がなされました。また、予定されている沖縄県知事選挙と基地問題の今後についての展望についても説明をいただきました。
 講演を拝聴し、現状の沖縄での米軍プレゼンスの問題は、日本の安全保障について大局観に立って考えればごく小さな問題に過ぎないのに、前者についての議論があたかも後者の議論に収斂してしまっている(普天間から辺野古への基地移設→日米同盟はさらに強固に→日本の安全保障も盤石)かのような日本国内で流布している言説の危うさについて大いに考えさせられました。同時に、アメリカ側のロジックと沖縄の現場で基地問題で苦しんでいる人々のロジック、双方をきちんと咀嚼した上で、沖縄での基地問題について考えなければならない、そんな思考の糸口を与えてくれるセミナーとなったと思います。(文責:地田徹朗

DSCF0198.JPGDSCF0193.JPG