「日本の境界地域論」プロジェクト研究会(11/26)開催される
2014年11月26日(水)、中京大学名古屋キャンパス9号館1階・第3会議室にて中京大学社会科学研究所「日本の境界地域論」プロジェクト研究会を開催しました。今回の研究会では、本プロジェクトメンバーである中京大学総合政策学部教授の佐道明広氏の著した『沖縄現代政治史』(吉田書店、2014年)に対する大阪市立大学教授の山﨑孝史氏の書評をもとに議論しました。なお、山﨑氏は科学研究費助成事業(科学研究費補助金)基盤研究(A)「ボーダースタディーズによる国際関係研究の再構築」のメンバーとして、また共催団体である北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター境界研究ユニット(UBRJ)を代表して北海道大学教授(UBRJユニットリーダー)の岩下明裕氏も参加しました。
本研究会において、『近年の中国脅威論をはじめとする安全保障問題に関して「沖縄」と「本土」の言説における溝が拡大している』『近年巷で言われている日本の島嶼防衛論は時代錯誤で第2次世界大戦中の日本軍の戦略を彷彿させる』といった佐道氏の主張には参加者全員が同意しました。一方、『「国際都市形成構想」が実現に至った場合グローバル経済下で成功したのか』、『与那国町に石垣市・竹富町も加えた「八重山」の視点からの分析が必要ではないか』、『沖縄県や与那国町に対する利益配分の観点からの政治分析が必要ではないか』、『与那国町におけるマンパワーの問題にもっと言及すべきではないか』といった参加者の指摘に関しては、佐道氏との間で活発な議論も展開されました。
本研究会を通じて、『研究者として「現地」との距離をいかに保つべきか』を改めて考えましたが、本プロジェクトメンバー以外の方も加わったことで沖縄をめぐる諸問題を考える上でより有意義な時間を過ごすことができました。本プロジェクトは今年度で終了しましたが、来年度より新たに開始されるプロジェクトでも引き続き国境問題をテーマに考察する予定です。そこで最後に改めて今回の本プロジェクト研究会にご協力いただいたUBRJ及び科学研究費助成事業(科学研究費補助金)基盤研究(A)「ボーダースタディーズによる国際関係研究の再構築」の関係者の皆様に心から感謝の言葉を申し上げます。(文責:古川浩司[中京大学])