「越境する中東難民と欧州安全保障」開催される(2/18)
2016年2月18日、UBRJセミナー「越境する中東難民と欧州安全保障」がスラブ・ユーラシア研究センター大会議室で開催されました。本企画は国連での2年に及ぶ勤務が終わり職場復帰された鈴木一人教授(大学院法学研究科)と欧州の移民問題の第一人者でもある樽本英樹准教授(大学院文学研究科)のダブル報告により、混迷する欧州の状況を読み解こうとするものでした。鈴木教授は「難民流入がもたらす欧州の安全保障上のインプリケーション」というタイトルで難民流入問題のインパクトの大きさを受け止めつつも、そもそものEUが経済的な利益共同体として発展してきた経緯を参照し、EUの制度そのものを掘り崩すまでにはいたらないのではないかとの示唆を行いました。これに対して樽本准教授はEUのもつ市民社会としての価値的な側面をも重視し、「市民」概念の重層性をモデルによって読み解く意味を強調しました。総じて、EUを理想主義的にとらえようとする立場から今回の事態を危機的にとらえる傾向が強いと思われますが、本セミナーを通じて、参加者の多くはEUの来歴やその機能や実態に着目して冷静な議論を積み重ねる必要性を感じたようです。タイムリーなテーマでもあり、30名の参加者で議論は盛り上がりました。部局を越えてテーマによって様々な連携しうるUBRJの強みが出た企画と言っていいでしょう。 (文責: 岩下 明裕)
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2016.02.25