サイエンストーク市民講座
ボーダーツーリズムの魅力を写真で語る:稚内・サハリンからのメッセージ
岩下明裕 & 斉藤マサヨシ
2017年6月3日、スラブ・ユーラシア研究センターにおいて、岩下明裕教授と写真家の斉藤マサヨシ氏による「ボーダーツーリズムの魅力を写真で語る:稚内・サハリンからのメッセージ」が開催されました。岩下教授の質問に応じる形で、斉藤氏が10年以上にわたってサハリン全島をめぐり撮影した写真について語りました。日本が統治していた時代のサハリン(樺太)の歴史を説明しながら、現地に今も残されている日本人の足跡の写真を紹介しました。廃墟となった王子製紙の工場や、鳥居のみが立っている神社跡地などの写真は、「サハリン」というボーダーツーリズムの現場の魅力を伝えました。斉藤氏の説明のなかで印象的だったのは、ご本人の写真家としての信条を表すもので、ただ写真をとって帰るだけではなく、現地の人々と交流をすることにより、さらに意味がある写真を撮ることができるのだというお話でした。そのお話を聞いてから改めて工場跡地の写真を見ると、廃墟の中で子供がいかにも楽しそうに遊んでいる活き活きとした様子に気づくことができました。
今年中に、北海道大学出版から斉藤マサヨシ氏による写真集『サハリンに残る日本』
が発売される予定です。斉藤氏が写しとったサハリン(樺太)の写真の数々は、ボーダーツーリズムとサハリンのさらなる魅力を皆さんにお届けするものとなることでしょう。