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2018年10月4日
【開催報告】ABS日本チャプターワークショップ 終了
去る9月29日(土)に、東京・御茶の水の中央大学駿河台記念館で、ABS日本チャプター(ABSj)主催による国際ワークショップが開催されました。これは、北海道大学境界研究ユニット(UBRJ)と九州大学ボーダースタディーズモジュール(KUBS)の共催でしたが、九州大学伊都キャンパス移転を記念として企画されました。共通テーマは、「ボーダースタディーズの現在―ヨーロッパ、北米、アジアの視点から」でした。台風の影響による雨の日にもかかわらず、研究者ばかりではなく、ボーダースタディーズに関心のある社会人や学生などを中心に20名近い参加がありました。
東京部会研究幹事の川久保文紀(中央学院大学教授)の司会のもと、まず日本支部代表の池直美(北海道大学講師)の挨拶がありました。第一部としては、まず、アメリカのジョージメイソン大学教授のグアダルーペ・コレア=カブレラが、トランプ政権における国境管理政策を、メキシコ国境を素材として、メディアなどを通じたスペクタルの観点から分析しました。次に、オランダのラドバウド大学教授のマーチン・ファン・デル・フェルデが、EU統合におけるモビリティとインモビリティの双方の視点から、EU域内におけるヒトの移動の誘因に関する考察を行いました。そのあと、北米先住民の専門家である水谷裕佳(上智大学准教授)とトルコ政治外交が専門の今井宏平(アジア経済研究所・日本貿易振興会研究員)より、それぞれの報告に対してコメント・質問がなされました。
第二部として、岩下明裕(北海道大学・九州大学教授)による「ヘイシャーズ島への招待」と題した講演が行われ、かつては中ソ国境の係争地であった島が、現在では、観光客が訪れることができるほど交流の場へと変貌してきた様相についての報告がありました。それに対して、中国、ロシア、北朝鮮のボーダーランズの専門家であるエド・プルフォード(日本学術振興会特別研究員)からコメント・質問が行われました。その後、フロアからの学生たちも英語で積極的に質問がなされ、活発な議論が行われた国際ワークショップとなりました。
(文責:川久保文紀)
*本セミナーは、九州大学伊都新キャンパス完成事業の一環であり、また新学術領域研究「グローバル関係学」公募研究「グローバル関係学における境界化現象の総合的研究」の成果報告でもある。