序
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都市から世界へ――サンクト・ペテルブルグの歴史によせて(望月哲男):
- 18世紀から現代までのサンク
ト・ペテルブルクの歴史を、さまざまな機能やイメージの連鎖として概観する。
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第1部 |
都市の成り立ち/学術の歴史 |
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ピョートル一世とサンクト・ペテルブルグの誕生(栗生沢猛夫):
- ピョートル一世がなぜ新首都をペ
テルブルグの地に建設しようとしたのか。ペテルブルグ建設当時の様子を具体的につたえながら、この疑問に迫る。
ライプニッツとロシア――ヨーロッパ史のなかのサンクト・ペテルブルグ科学アカデミー創設(橋本伸也):
- ロシア初の学術情報発信源たるサンクト・ペテル
ブルグ科学アカデミーの創設を、同時代のヨーロッパ科学史や大学史の文脈に位置づけるとともに、その創設に貢献した哲学者ライプニッツの発言と活動を跡づ
ける。
科学都市としてのサンクト・ペテルブルグ(梶 雅範):
- サンクト・ペテルブルグを舞台としたロシア近代科学史を4つの時期に区分して、代表的な科学者の
エピソードを絡めて紹介する。
革命の時代のペテルブルグ/ペトログラード(土屋好古):
- ペテルブルグは20世紀初頭の3度の革命の発火点となった。革命の前提となったペテルブルグの
社会状況と第一次大戦の影響を概観したのち、この都市空間と革命がどのように結びついていたのかを描く。
ペテルブルグの言語学――20世紀言語学への貢献(三谷惠子):
- あまり知られていないペテルブルグの言語学者たちの足跡をたどり、それを現代言語学史の
中に位置づけることで、ペテルブルグに展開した言語学の今日的意義を考える。
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第2部 |
都市のイメージ/文芸の歴史 |
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ペテルブルグのエネルギー――文学はそれをどう捉えてきたか(郡 伸哉):
- サンクト・ペテルブル
グが文学の中でどう扱われてきたかを、創造と破壊の両義性を持つ「スチヒーヤ」の概念を媒介としてたどる。
ペテルブルグの芸術――美術都市と反コンセプチュアリズム(鈴木正美):
- ペテルブルグで展開した美術(特に20世紀のもの)をたどりながら、都市が美術
に与える影響、そしてペテルブルグの文化において美術がどのようなメッセージを発していたのかを考える。
ナルキッソスの水に映る街――劇場都市ペテルブルグ(楯岡求美):
- さまざまな神話や伝承を持ち、また矛盾した形容をされるペテルブルグという都市を、テ
クストのように読み解く試み。
過去と現代――ペテルブルグ文学のレトリック(望月哲男):
- ソ連後の新しい文化状況のもとで、ペテルブルグという文化空間の特異性を意識した文学テクス
トが再び生産されている。テーマや様式の継承と変容といった問題意識から、現代のペテルブルグに関する文芸作品を概説する。
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