スラブ社会文化論専修博士課程の高橋沙奈美さんが、2008年度日本ロシア文学会賞を受賞し、 10月11日に行われた同学会総会におい て表彰されました。受賞対象は『ロシア語・ロシア文学研究』第39号(2007年)に掲載された論文「『停滞の時代』のソロフキ国立歴史建築博物館・記念 公園――失われた修道院をめぐる親密圏・公共圏の語り」です。井桁貞義学会賞選考委員長(学会長)による講評には、以下のように選考理由が述べられていま す。 「高橋氏の論文は『停滞の時代』という特殊な時代背景をもとに、ラーゲリのイメージと聖地のイメージを持つソロフキ修道院を、『展 示』 する体制側のイデオ ロギー的意図と現場の『親密圏』で暮らし説明する館員たちの意図、さらに見る側の印象という3つの観点から社会文化史的に意味づけようとしているもので、 抽象的な思弁に流されることなく、歴史的事実をしっかり踏まえたものであり、強い説得力を持っている。『感想ノート』利用の際の資料批判や、『ロシア的な るもの』という概念のいまひとつの限定の仕方に工夫の余地があるだろう。さらに『親密圏』『公共圏』などの概念はもう少し洗練される事を期待したい。注文 は多いが、学会賞の水準に十分達しており、若い研究者が自分の興味の対象を、自分で直接訪ねて調べるという姿勢は、新しい研究対象を切り開く可能性を持っ ており、今後この種のアプローチによるロシア文化史記述が増すことを期待したい」(『ロシア語・ロシア文学研究』40号、2008年) なお、日本ロシア文学会賞は前年度に発表された研究論文を対象とするもので、今年度は水野晶子さん(名古屋大学)とともに2名の受 賞 でした。 「ソロフ キ 修道院」 2008年3月にスラブ社会文化論専修博士課程を修了した金野雄五さん(みずほ総合研究所)が、比較経済体制学会の第2回研究奨励賞を 受賞することに決ま り ました。受賞対象は、本専修で書いた博士論文「ロシアにおける対外経済関係の自由化の一考察:多角的貿易自由化と地域経済統合の展開を中心として」です。 授賞式は、2009年6月6~7日に国学院大学で開かれる学会大会の際に行われます。 選考理由については、田畑理一審査委員長(大阪市立大学)が審査報告のなかで次のように書いています。 「個々の事象や制度変遷の調査を丹念に行うことの煩雑さと意義を認めた上で言うと、各章において明確な評価や展望は抑制気味ではある が、詳細な調査を行い、実に詳細に様々な側面から分析・検討を加えた上で、全体として丹念な記述にまとめ上げていると考え、研究奨励賞に該当するものと評 価した」(『比較経済体制学会ニューズレター』No. 31) この賞は、毎年、若手の研究者1名に贈られるもので、2007年度の第1回は、武田友加さん(当時、東京大学)の博士論文に贈られ ま した。
[大学院
ニュースindexページに戻る] |
|
SRC Home |