スラブ研究センターニュース 季刊 2006年冬号 No.104 index
今年度の冬期国際シンポジウムは12月14~16日に、「中・東欧の地域:過去と現在」というタイトルで開催され、116名(受付での登録者数)の参加を 得ました。今回の企画は、「北欧」や「地中海世界」といった「東・中欧」に隣接する世界も視野に入れ、またこの地域を構成する「バルト」、「中欧」、「バ ルカン」という下位地域、「国民国家」そのもの、カリーニングラードやガリツィアなどのより小さな地域など、多様な「地域論」が展開されました。さらに、 国際関係、歴史、文学、言語など多彩なディシプリンからの報告がおこなわれました。外国人報告者の国籍で見ると、ロシア、フィンランド、エストニア、ポー ランド、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、ギリシャが各1名、チェコが2名と多彩で、また日本人参加者では討論者として参加いただいた百瀬宏先生をはじめとす るベテランから30歳代の若手まで幅の広い層の参加をいただきました。学際的な対話の意義を確認する場となりましたが、同時に世代間の対話という意味でも 有意義な企画となりました。このシンポジウム開催にあたって助成や共催をいただいた日本国際交流基金、EUIJにこの場を借りてお礼を申し上げます。
なお、シンポジウムの報告集は21世紀COEプログラム「スラブ・ユーラシア学の構築:中域圏の形成と地球化」から近く刊行される予定です。以下にプログ ラムを掲載します。
| 12月14日( 水 ) | |
| 15:30-17:30 
             | 
          
            第1セッション:
             「地球化する世界における欧州の地域」  | 
        
| ペルティ・ヨエンニエミ(デ ンマーク国際学研究所) | |
| 「欧州形成としての地域化:欧州北部の事例」 | |
| ジェマル・ソコロヴィチ(ベ ルゲン大学/ノルウェー) | |
| 「バルカン諸国の近代における政治と社会」 | |
| 討論者: | 
          百瀬宏(津田塾大学名誉教授)、月村太郎(神戸大学)  | 
        
| 司会者: | 
          林忠行(SRC) | 
        
| 
             | 
        |
| 12月15日( 木 ) | |
| 9:30-12:00 
             | 
          第2セッション: 「ポーランドのジェチポスポリタ:その空間的表象」 | 
| 小山哲(京都大学) | |
| 「政治的空間としてのポーランド・リトアニア共同 体:その統一性と複雑性」 | |
| ヤツェク・プルフラ(クラクフ国際文化センター/ポーランド) | |
| 「ガリツィアもしくはマロポルスカ地域:中欧アイデ
            ンティティのディレンマ」 | 
        |
| イジー・ヴィコウカル(カ レル大学/チェコ) | |
| 「ポーランド人のロシア認識:進化と構造」 | 
        |
| 討論者: | 
          関口時正(東京外国語大学)、栗生澤猛夫(北海道大学)  | 
        
| 司会者: | 
          望月哲男(SRC) | 
        
| 
             | 
        |
| 13:30-15:30  | 
          第3セッション: 「地域概念と国民の位 置」 | 
| 三谷惠子(京都大学) | |
| 「隠喩としての『バルカン』:南スラブの人びとの言語 と言説における『バルカン』」 | |
| 林忠行(センター) | 
        |
| 「マ サリクの『中欧』もしくは『東欧』:第一次世界大戦期の言説から」 | |
| 討論者: | 
          長與進(早稲田大学)、イジー・ホモラーチ(東京外国語大学)  | 
        
| 司会者: | 
          家田修(SRC) | 
        
| 
             | 
        |
| 15:45-17:45  | 
          第4セッション: 「歴史と政治の文脈おけるバルト地域再考」 | 
| エイキ・ベルグ(タルトゥ大学/エストニ ア) | |
| 「東が西と出会うところ:新しいアイデンティティを模
            索するバルト諸国」 | 
        |
| 志摩園子(昭和女子大学) | |
| 「『バルト諸国』の諸相と地政学的多様性」 | |
| 討論者: | 
          古谷大輔(大阪外国語大学)、大島美穂(津田塾大学)  | 
        
| 司会者: | 
          松里公孝(SRC) | 
        
| 
             | 
        |
| 12月16日(金) | |
| 9:30-12:00   | 
          第5セッション: 「文学・歴史の想像に おける空間と領域性」 | 
| ダニエル・ヴォイチェフ(チェコ科学アカ デミー・チェコ文学研究所) | |
| 「『時代精神の変容』と旧世界の衰退:チェコの視点」 | |
| 篠原琢(東京外国語大学) | |
| 「歴史意識と市民倫理:1980年代の異論派サークルの間での『痛みを伴う過去』と『中欧』の再生を論じる」 | |
| 沼野充義(東 京大学) | |
| 「中欧文学なるものはあるのか:現代文学に基づく『中
            欧意識』再考の試み」  | 
        |
| 討論者: | 
          橋本聡(北海道大学)、望月哲男(SRC)  | 
        
| 司会者: | 
          宇多文雄(上智大学) | 
        
| 
             | 
        |
| 13:30-15:30  | 
          第6セッション: 「失われた歴史と領域 認識」 | 
| 吉岡潤 (津田塾大学) | |
| 「彼らの土地をわれわれの土地と想像する:第二次世界大戦後のポーランドにおける旧ドイツ領の地名変更」  | 
        |
| アレクサンドル・セルグニン(ニジニノヴ ゴロド国立言語大学/ロシア) | |
| 「ロシアと外国におけるカリーニングラード認識:過去と現在」 | |
| 討論者: | 
          伊東孝之(早稲田大学)、松里公孝(SRC) | 
        
| 司会者: | 
          原暉之(SRC) | 
        
| 
             | 
        |
| 15:45-17:45;
             | 
          第7セッション: 「領域の国民化と国民の領域化」 | 
| アントニス・リアコス(アテネ大学/ギリ シャ) | |
| 「近代ギリシアにおける歴史的時間と国民の空間」  | 
        |
| 中澤達哉 | 
        |
| 「社団としてのスロヴァキア国民」  | 
        |
| 討論者: | 
          家田修(SRC)、宇山智彦(SRC) | 
        
| 司会者: | 
          林忠行(SRC) |