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● 開講にあたって
今回は趣向をがらりと変えて、「声なき者の復権」というテーマを選びました。20世紀は「戦争の世紀」であったと言われますが、戦争の背景に、ま
たその原因として「民族」の存在がしばしば言及されてきました。しかも20世紀に顕在化したさまざまな民族問題は、そのまま21世紀に持ち越されていま
す。そこで本講座では、スラブ・ユーラシア圏に地域を限定して、「声なき者」が自らの「声」を獲得しようとする具体的な事例を、さまざまな視座から論じて
みることにしました。取り上げられる話題は、「民族」のつくられ方、全体社会における少数者集団の在り方、滅亡に瀕する極小集団の生き様等と多彩ですが、
いずれも、21世紀において「民族」の問題が紛争の背景や原因とならぬための処方箋を模索するものです。
「声なき者の復権」を肯定的に捉えるか、批判的に論ずるか、講師によってその立場は異なりましょう。また、受講生の皆さんにも独自の意見がおありで
しょう。その意味で、各講義が活発な論争の場となることを大いに期待します。
(スラブ研究センター)
● 開講日程
毎週月・木曜日 午後6時30分〜午後8時30分日 程 | 講 義 題 目 | 講 師 | |
第1回 | 5月 7日(月) | 中央ユーラシアの「民族」問題と「民族史」の創造 | 北海道大学スラブ研究センター 助教授 宇 山 智 彦 |
第2回 | 5月10日(木) | 静かな反乱?受洗タタール人の棄教 | 静岡県立大学国際関係学部 助教授 西 山 克 典 |
第3回 | 5月14日(月) | ロシア帝国西部諸県のポーランド人 | 北海道大学スラブ研究センター 教 授 松 里 公 孝 |
第4回 | 5月17日(木) | 極東ロシアにおける日本人社会 | 新潟大学人文学部 助教授 イーゴリ・サヴェリエフ |
第5回 | 5月21日(月) | つくられた歴史と「民族」:マケドニアをめぐって | 東京都立大学人文学部 助 手 佐 原 徹 哉 |
第6回 | 5月24日(木) | 新たな民族の誕生:スロヴァキアのルシーン人の場合 | 早稲田大学政治経済学部 教 授 長 與 進 |
第7回 | 5月28日(月) | 極小民族の「声」:サハリン・ウイルタの場合 | 北海道大学スラブ研究センター 教 授 井 上 紘 一 |