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● 開講にあたって
半世紀続いた社会主義時代に終止符を打った1989年の東欧革命。その後20年近くが経過し、今年は2004年の第一波八カ国(エストニア、ラトヴィア、 リトアニア、ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリー、スロヴェニア)に続いて、ルーマニアとブルガリアが欧州連合(EU)への加盟を果たしまし た。
もっとも振り返って見るに、欧州政治が東へ西へと動くのにあわせ、東欧も左往右往の連続でした。もちろんロシアや西欧がこの地域をどう認識し、どう扱おう としたのかを抜きにして、東欧地域を語ることはできません。しかし他方で、もう一度地域研究の原点に立ち戻って、地域の人々が自分たちをどう認識していた のか、歴史の節目節目に地域の人々が自分たちをどう作り直そうとしたのか、内と外との関係を人々がどのように結びつけようと、あるいは切り離そうと考えた のか、東欧というのはいったい何処から何処までなのか、こうした問題を歴史と文化を中心に問い直すことは、地域を知る上で基本の基本です。
幸いにもスラブ研究センターは2003年から大型の研究助成を受けて、大学院を終えたばかりの優れた人材を全国から募り、若手研究者として研究に専念でき る環境を整備しています。今回の公開講座では研究の最先端にいるこうした若い力を積極的に取り入れ、いままでとは一味も二味も違う東欧論を用意しました。
第一次世界大戦後の「戦略的東欧」、ユダヤ人と東欧社会、受難のベラルーシ、バルカンのムスリム、オーストリアのクロアチア人、多様性のウクライナなど、 一回一回が興味津々の講義であり、全体として大きく東欧像が膨らむはずです。
題して「拡大する東欧」。本講座としては1995年以来の東欧特集ですが、旧ソ連の西部地域へと拡大した東欧が俎上に載せられます。
(スラブ研究センター)
● 開講日程
毎週月・金曜日 午後6時30分〜午後8時30分日 程 | 講 義 題 目 | 講 師 | |
第1回 | 5月14日(月) |
「東欧」への眼差し−戦略としての地域 |
北海道大学スラブ研究センター 教授 林 忠行 |
第2回 | 5月18日(金) |
ディアスポラの聖地: ウクライナで復活したユダヤ人巡礼から見えてくるもの (747kb PDF) |
北海道大学スラブ研究センター 学術研究員(COE研究員) 赤尾 光春 |
第3回 | 5月21日(月) |
国家と宗教:旧ユーゴスラヴィアの例 (593kb PDF) |
東京大学 博士課程 長島 大輔 |
第4回 | 5月25日(金) |
異国の中の祖国: ブルゲンラント・クロアチア人の過去、現在、未来 (414kb PDF) |
北海道大学スラブ研究センター 客員研究員 三谷 惠子(京都大学教授) |
第5回 | 5月28日(月) |
戦争と原発事故とベラルーシ人の国民形成 (601kb PDF) |
北海道大学スラブ研究センター 学振特別研究員 越野 剛 |
第6回 | 6月 1日(金) |
ヨーロッパの「一員」か「隣人か」: ウクライナ・アイデンティティの歴史的変遷 (529kb PDF) |
明治大学 講師(非常勤) 光吉 淑江 |
第7回 | 6月 4日(月) |
消滅、それとも拡大する東欧 |
北海道大学スラブ研究センター 教授 家田 修 |
*都合により、日程等の一部を変更することがあります。