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                           博士論文「ベッサラビア統治から見た帝政ロシアの膨張と統合─1812‐1917年─」(2006年3月学位
                            取得)において、以下の点について指摘した。  
                          
                            - 従来「ルーマニア地域」として扱われてきたベッサラビアをビザンツの伝統や文化が色濃く残る「ポスト・
                              ビザンツ空間」として認識する必要性
 
                             
                             
                            - 「中央‐地方」関係の問題設定が多いロシア帝国の辺境統治研究に対し、空間的にも政策的にも帝国の外へ
                              目を向ける必要性
 
                             
                             
                            - 帝国にとって辺境が単なる統合の対象ではなく膨張の道具でもあったことから、辺境統治研究における統合
                              政策偏重の傾向を克服する必要性
 
                             
                           
                           
                          ベッサラビアとコーカサス(特にグルジア)はロシア帝国領「ポスト・ビザンツ空間」としての特性を共有しているにもかかわらず、モルドヴァ共和国の歴史家
                          はコーカサスについて知らず、コーカサス研究者はベッサラビア・バルカン研究を参照しない。このような狭い地域主義による黒海東西沿岸地域史の分断を克服
                          するために、ロシア帝国、正教、ビザンツ法などの広域分析枠を媒介に、黒海・地中海正教圏に対する帝政ロシアの内政と外交を包括的に論じる方法を模索す
                          る。 
                           
                          
                           
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