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                           ロシア・東欧などの移行経済諸国の農業問題などを中心とした経済分析がテーマであり、内容的には「比較制度研
                            究」として、経済における「組織」や「制度」
                            の問題に焦点をあてた研究を行なってきた。 研究手法的には、フィールドワークを通じた経済組織やミクロレベルの経済・社会関係の分析が中心である。 
                          ロシアについては、1990年初頭からロシア農業に関するフィールドワークを本格的に始め、その数年間の調
                            査・研究の成果は『ロシアの土地改革:1989-1996年』というモノグラフの形で出されている(本著は日本農業経済学会の学会賞を受賞している)。こ
                            の著作を出版するまでのフィールドワークはロシア欧州部での調査が中心であったが、その後、シベリア・極東においても数度にわたって本格的な調査を行なっ
                            てきた。  
                          また、1990年代後半からは、従来のロシア中心の研究から国際比較的な研究へと対象を広げ、ロシアだけでな
                            く東欧諸国や中央アジアなどでのフィールドワークも行うようになった。  
                          東欧諸国については、「東欧ロシア地域における農村経済構造の変容」という科研費・研究プロジェクト
                            (1999年度~2001年度)やその他の委託調査プロジェクトに関連して実施してきたものである。農業生産組織、農地制度、農村における所有関係や社会
                            関係の変化などについて、フィールド調査を中心とした研究作業を行ってきた。  
                          中央アジアについては、2001年度より、京都大学などの研究者グループ(土壌学、植物生態学等の自然科学系
                            の学者グループ)と連携して、カザフスタンで農業問題に関するフィールド調査を始めており、さらに2002年からはウズベキスタンでも同様のテーマで本格
                            的な調査・研究を行なっている。  
                          以上のような研究調査対象のひろがりは、あくまでも研究手法として国際比較が重要であるという認識にたったも
                            のであり、東欧や中央アジアでの研究成果により、ロシアでの研究の中で明らかになった移行経済下の農業における諸問題を相対化し、より深く多面的な視角か
                            ら捉えることに成功したと考える。  
                          
                           
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