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1.開講にあたって
国際社会が多極化し、不安定な要素をます中で、ロシアの存在感は相対的に大きなものになっているように思えます。この3月には、複数政党制をとっている大 国のうちでは圧倒的な支持率を誇る政権政党を基盤に、プーチン氏からメドヴェージェフ氏への大統領の交代がスムーズに決定されました。経済の面でも、石油 の高騰のおかげで、エリツィン時代と比べれば「奇跡」と思えるほどの発展を遂げているように見えます。
そうした国の発展振りは、はたして国民の生活にどのような影響を与えているでしょうか? 総じて現代のロシアで、人々はどんな風に働き、何を考え、どんな 関心や悩みや目標をもって生活しているのでしょうか? 今回のスラブ研究センター公開講座は、今のロシアを人々の暮らしの目線から捉え、この近くて遠い隣 国の社会や文化について語り合い、学び合う場として企画いたしました。
ロシアの詩人ネクラーソフには『誰にロシアは住みよいか』という物語詩があります。貧しい農民たちが各地を行脚して人々の苦しみや悩みを聞き取っていくと いう筋立てで、19世紀社会の生活事情がよくうかがわれます。今回の公開講座は地域のルポルタージュを目指すものではありませんが、経済、社会、文化、思 想といった日常世界のいろいろな側面を探訪する手法により、全体として現代ロシア人の生活感覚が浮かび上がってくればと期待しております。講師陣にも、そ れぞれの分野においてきわめて詳しく具体的な関心と知識をもつ専門家の方々をお願いしました。
今年は北海道でのサミットの開催ともあいまって、ロシアを知ることへの期待や要求も高まると予想されますが、われわれの公開講座もそうした期待に応える場 になるよう、努力したいと思います。ロシア・ユーラシア地域に関心を持つ多くの方々の受講を期待しております。
(スラブ研究センター)
2. 開講日程
毎週月・金曜日 午後6時00分〜午後8時00分日 程 | 講 義 題 目 | 講 師 | 会 場 (北海道大学人文・社会科学総合教育研究棟) |
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第1回 | 5月12日(月) |
ロシアは「普通の先進国」になれるか? (ロシア経済の方向性を考える) |
北海道大学スラブ研究センター 教授 田畑伸一郎 |
W103室 |
第2回 | 5月16日(金) |
メドヴェージェフとは誰か? (ポスト・プーチンの政治を語る) |
愛知淑徳大学 教授 皆川修吾 |
W103室 |
第3回 | 5月19日(月) |
ロシア・サッカーはどこへ行くか? (スポーツから社会を見る) |
天理大学 准教授 大平陽一 |
W103室 |
第4回 | 5月23日(金) |
ロシアではどんな映画が人気を呼んでいるか? (映画から世相を見る) |
同志社大学 非常勤講師 扇千恵 |
W103室 |
第5回 | 5月26日(月) |
ロシアは誰に住みよいか? (社会生活・格差問題を考える) |
大阪産業大学 教授 大津定美 |
W103室 |
第6回 | 5月30日(金) |
ロシア知識人は何を考えているのか? (言論・思想界の状況を語る) |
横浜国立大学 准教授 大須賀史和 |
W201、202室 |
第7回 | 6月 2日(月) |
トルストイは「復活」するか? (文学から社会を見る) |
北海道大学スラブ研究センター 教授 望月哲男 |
W103室 |
*都合により、日程等の一部を変更することがあります。
3.公開講座の講義録
2008年度のスラブ研究センターの公開講座は「現代ロシアをめぐる7つの問い」をテーマに,5月12日から6月2日まで開催されました。このほ ど,インターネットマガジン『しゃりばり』誌上でその講義録(要旨)の掲載が始まりました。下記のサイトをご覧下さい。
http://www.hit-charivari.com/article/data/ca001.html