平成9年度 北海道大学スラブ研究センター公開講座(第12回)

「ロシア文化の新しい世界」


 1986年に開始したスラブ研究センターの公開講座は、12回目を迎えました。従来はどちらかと言えば政治経済の話題が中心でしたが、1997 年度は少 し趣を変え、「ロシア文化の新しい世界」と題して実施いたしました。
 トルストイやドストエフスキイの小説、チャイコフスキイの音楽など、ロシアの19世紀の文学・芸術は、日本でもよく知られています。しかしロシア文化に は、一般の皆さんに知られていない側面がまだまだたくさんあります。ソ連崩壊後の社会の激変の中で生まれてきた新たな潮流もあれば、最近見直されている過 去の文化もあります。
 1997年度の講座では、文学、芸術学、民俗学、人類学、アジア研究といった学際的な視点から、ロシア文化を考えることにしました。センター外からも4 人の先生をお招きしました。
  • 第1回 5月12日(月) ロシア文化は「ポストモダン」か? 望月哲男(センター)
  • 第2回 5月15日(木) 現代ロシア美術          鈴木正美(芝浦工大)
  • 第3回 5月19日(月) 中央アジアから見たロシア文化   宇山智彦(センター)
  • 第4回 5月22日(木) ロシア正教会はどこへ向かうか   廣岡正久(京都産業大)
  • 第5回 5月26日(月) シベリア少数民族とロシア文化   井上紘一(センター)
  • 第6回 5月29日(木) 民衆文化・民族文化から見たロシア 坂内徳明(一橋大)
  • 第7回 6月 2日(月) ロシア映画の現在         井桁貞義(早稲田大)
 


センターに導入されたばかりのヴィデオプロジェクターを使った、ロシアの最近の芸術の紹介は、特に好評を博しました。 受講者からは閉講時のアンケートで、「講師陣が一流の方ばかりで、とてもすばらしかった」「気取らないことが講座に親しみを持たせた」などの感想が寄せら れました。 何人かの専任研究員や非常勤研究員も、専門外の問題を勉強する貴重な機会として熱心に聴講し、特に外部からの講師を迎えた時には、硬軟とりまぜた議論が場 所を変えて夜まで続きました。