ITP International Training Program



2010年英語キャンプ参加報告

田中 良英

(拓殖大学海外事情研究所・客員研究員 )


 私は2008年3月の英語キャンプに次いで2度目の参加となる。もう少しリピーターの方が多いかと予想していたが、結局オーガナイザーの越野剛さんを除けば、私のみであった。重ねての参加というのは個人的には極めて貴重な機会であったものの、その意味ではやや臆面がなかったかと感じるところもある。ただし逆に言えば、双方を比較できる希少な立場にあるわけでもあり、その点を中心に以下記すことにしたい。


 大きな変更点としては何よりも、前回の2週間に対しキャンプ期間が1週間に短縮されたことが挙げられよう。これは利点と欠点の双方を含んでいたように思う。前者としてまずは、参加への決断が容易になった点が大きい。実を言えば、今回のスケジュールでさえも帰京後に即座に処理すべき案件に追われるなど、時間のやりくりが難しいところがあった。そうした外部の状況を遮断して、朝から晩まで英語学習に集中するためには、1週間ぐらいが限度であるように思われる(ある程度通信環境などが整備されていれば、他の作業と並行しての学習も可能になるかもしれないが、それはそれでキャンプの集中度を損なうことにもなる)。


 その一方で共有する時間と苦労が多かった分、前回の方が参加者の連帯感が高かった印象があるのも否定できない。前回は授業時間以外の部分での接点(例えば風呂や夜のラウンジなど)も多く、そこで個人的な情報や見解の交換も行われた。それが今回相対的に乏しかったのは、やや寂しかったところもある(もしかすると、今回は喫煙ルームがその役割を果たしていたのかもしれないが)。


 また期間が短かった分、前回にも増してプレゼンテーションの分野に特化したカリキュラムとなった点は、リピーターとしては個人的に予想や対処が容易であった反面、目新しさにはやや欠ける側面もあった(とはいえ、2年前の実践の経験があったからか、キャンプ全体の流れはより円滑になったように感じられた)。ただし参加者個々人のプレゼンテーションのスタイルには一定の変化も見られた。特に目立ったのは、パワーポイント使用率の高さである。前回は参加者の多くがパワーポイントを使用しなかった分、アクションやイントネーションなどスピーチ本体の演出に配慮する傾向があったものと記憶するが、今回においてはその点の意識は弱かったように思われる。私自身は普段から日本語の報告でもパワーポイントを使用することはないため、あまり客観的な意見ではないかもしれないが、パワーポイントの使用はかなり慎重さを必要とするのではないだろうか。単にパワーポイントの素材や画面を準備し、それでよしとするのではなく、それらをスピーチの中にいかに効果的に組み込むか、画面と合わせて報告の力点をいかに強調するか、むしろ報告者側の難度は高まるように感じられた。無論、地図や図案などスクリーンを通じて提示することに大きな伝達効果が期待されるデータがあるのは確かだろう。しかし今回のキャンプでもしばしば指摘されたように、スクリーン上の情報量を増やし過ぎることは、聴衆にそれらを読むことに専心させ、報告内容への注意を拡散させてしまう恐れも生む。私自身が今後パワーポイントを使用する際の配慮として、心がけておきたい問題と考える。


 なおスラブ研究センターの活動の多様化を受け、今回の参加者の専門分野は前回よりも遥かに多彩であった。その意味で、多様なディシプリンや研究視角に触れられたことは今回非常に興味深い経験であったと言える。その点も含め、英語キャンプへの参加は全体としてやはり非常にありがたい機会であったことに変わりがなく、そのような場に招待して下さったスラブ研究センターに対し、末筆ながら改めてお礼申し上げたい。また講師の御両名、オーガナイザーの方々にも感謝の意をお伝えしたい。



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