How to get published in Englishに関する覚書
左近 幸村
(スラブ研究センター)
正直に告白すれば、私は今回のセミナーに参加しようかどうしようか、申込期限ギリギリまで迷っていた。現在博論完成間近であり、3月の半ばにはロシアに2週間出張する予定も入っている。そんな最中に、3日間英語漬けになっている余裕などあるのだろうか?(実際、この3日間はほとんど博論に手を付けられなかった)それでも参加したのは、過去のITPの催しにいくつか参加した経験から、直接的にであれ間接的にであれ、何か得るものはあるだろうと思ったからだ。
もちろん、3日間で得たものを列挙するのは簡単である。英語論文を執筆するのに便利な言い回しをまとめたペーパー、参考になりそうなウェブサイト等々。個人指導では、英語としては1文が短すぎるなど、日本語で文章を考えていることがバレバレな私の悪癖も指摘してもらえた。また英語で質問しているうちに、自分の英会話の問題点の1つも見えてきた(さすがにこれは恥ずかしいのでこれ以上書きません)。
ただここまでは、巷にある英会話学校でも教えてもらえそうなことである。いかにも今のスラブ研究センターにおけるwriting seminarならではの収穫だと思うのは、南アジアや中東地域、フィンランドの若手研究者と対話して、ロシアを研究している日本人が、英語で論文を書くことの意味を改めて考えたことである。1日目の最後の討論で、私はロシア研究者には基本的に日本語、ロシア語、英語という3つの言語で研究を発表する選択肢がある、と述べた。だがセミナー終了後、アジア地域の研究者の人たちから、イランのような国を除けば南アジア~中東地域において現地語で研究発表をするという例はあまりなく、外国語で書く場合は基本的に英語になるという話を聞いた。そのことは漠然とは想像していたものの、実際に研究に携わっている人たちから様々な研究の事情について伺うことができたのは、「地域研究」というもののあり方を考えるうえで収穫だった。一方、高橋沙奈美さん、麻田雅文さんや松里先生が話したロシア独特の出版文化、すなわち人の論文に勝手に手を加える、学会で報告したらすぐそれを出版するといったことは、他の地域研究の方には衝撃だったのではないかと思うが、どうだったのだろう。
今後については、まず日本語でやるべきことがいろいろあるものの、それらが一段落したところで、博論をもとに英語論文の1本ぐらい書いて、国際的な反応を見てみたいとも考えている。博論が船の話であることや一連の講義を踏まえると、船の歴史に関する2つの英語雑誌、The Mariner's MirrorかInternational Journal of Maritime Historyが候補になる。幸い2つ選択肢があるので、どちらか一方に落ちても再挑戦しやすい。もちろん、今後もっと適当な雑誌が見つかって、そっちのほうに投稿することになるかもしれないが。
[Update 12.09.13]
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