ITP International Training Program



ICCEESストックホルム大会に参加して

長島 大輔

(東京経済大学)



大会運営について
  報告者・参加者は、数百名にものぼり、同時進行でいくつもの部会・シンポがあった。初日に渡されたプログラムをもとに、どの部会で誰の発表を聞くか計画を練ったが、行ってみると報告者が来ておらず、がっかりさせられることも多かった。報告のキャンセルや報告者の別の部会への移動は、随時掲示板に張り出されていたが、毎日掲示板をチェックするのには苦労した。現に自分の発表の時間も2度の変更があって、結局もとの予定通りの時間になったし、自分と同じ部会の発表者も変更されていて、なにやらわけがわからぬうちに発表が終わってしまった。といっても大会組織者にこれらの混乱の責を求めてもしかたあるまい。大会の準備の段階から、運営側から十分な情報が届いていたし、大会期間中も変更やキャンセルの連絡も律儀に行われていた。反対に、このような大規模な学術大会の一参加者として、組織者が運営しやすいようにどんな協力ができるかということも考えるべきであろう。


自分の報告について
  自分の発表に関しては、いくつもの反省点があったが、まず発表の内容が詳細に過ぎた。私の発表が旧ユーゴに関するものであり、大会の参加者の大部分がロシア・旧ソ連地域の専門家であったことも関係するが、自分の研究テーマに関わる大きな問題を論じていたら、他の専門領域の専門家や、他の地域の同種の問題に関心のある研究者から、有益なコメントをもらえたであろう。参加者の一人から「詳細に準備をし、大きく論じよ」というアドヴァイスを頂き、このような反省を抱いた次第である。


語学能力について
  英語の能力についても考えさせられることがあった。日本で開催される英語のシンポなどでは、海外からの報告者が英語のネイティヴであるかそうでないかに関わらず、発言者がほとんど日本人である場合が多いので、使われる専門用語や表現になじみがあった。ところが、今回の大会にように、普段から英語で議論している研究者同士の議論には、聞きなれない表現がいくつもあり、フォローするのに苦労した。発音でも、さまざまな訛りがごちゃ混ぜになって、私には聞き取りづらいと感じたが、他の参加者にはちゃんと理解されていた。やはり、他の参加者の意見を十分に理解し、自分の意見をしっかり伝えるには、常日頃英語を実践的に使う努力が必要であると改めて実感した。つまり、読む、書くだけでなく、聞く、話す練習が大切であろう。余談だが、ストックホルムのような大都市では特に、滞在するホテルの予約は早めに行うべきであった。参加者の一人からホテルによっては早期予約による割引制度なるものがあるという話を聞いたし、とにかく大会間近にはリーズナブルなホテルの空きはほとんどなくなっていたからである。




Photo by Maria Löfstrand


[Update 10.09.07]




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