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ICCEES2010に参加して杉浦 史和(帝京大学、ITP第1期フェロー)[→プロフィール] ITPフェローとしてワシントンDCに派遣されたのはもう2年も前のこと。帰国後、一度だけ海外の学会(AAASS)で報告したが、そのときはペーパーの準備不足もあって、とても満足のいくものではなかった。今回は、5年に一度というICCEESでもあり、気を引き締めて臨んだ。実のところ、去る3月に真駒内英語キャンプに参加させていただいたことが、大変いい刺激となっていた。私は、在外研究経験者としてお話しさせていただく場を与えられたのであるが、そこでプレゼンテーションの準備に真摯に取り組んでいる皆さんを見て、深く感銘を受けただけでなく、プレゼンテーションのスキルも大いに学ぶことになった。そんなこんなで、内心密かに期するものがあって、ストックホルムに向かったのである。 今回は、これまで共同研究をしてきた研究仲間と独立のパネル"The Dynamism of the Russian Corporate Governance before and after the Crisis"を提案し採択された。ITP派遣中のワシントンDCでのランチョンにもお呼びしたロシア高等経済学院(HSE)のA.ヤコブレフ教授と、同じくHSEのT.ドルゴピャートバ教授の3名で報告をし、ブレーメン大学のヘイコ博士にコメントを、そして一橋大学経済研究所の岩﨑一郎教授に司会をお願いした。金曜日朝一番のパネルであったが、幸い比較的多数の聴衆に恵まれた。 今回のプレゼンテーションで気をつけたことは、次の三つのポイントである。 さて、プレゼンテーションの出来具合である。 (1)Attention grabber (2)One message in one slide (3)Speaker is me, not a screen. さて、今回のパネルを振り返ると、3名の報告のうち、筆者が最も質問・コメントを多く受けたようだった。それはよい場合と悪い場合とがあるが、少なくとも、無関心に流されたのではなく、聴衆に引っかかる何かを伝えることができたのだと、勝手に解釈している。ところで、これらのコメントへの応答は不十分だった。というのも、数多くのコメントに対して、明示的に対峙したり、退けたりすることができなかったからだ。概ね指摘されたコメントについては、筆者も十分に配慮していた点であったが、時間の制約などから触れなかった点が多かった。従って、あり得べき回答は、指摘いただいた点については十分重要だと考えるが、筆者としてはそれよりもさらに重要と考える点を優先して話したのであるというようなものであるべきだった。コメントへの反射神経という点で、反省点である。 それにつけても、プレゼンテーションの奥は深い。今回達成できたことを喜びつつ、不足点を改善し、自分の研究報告を磨いていきたいと思う。 |
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