公開講座
2022年度公開講座は終了しました。
センターでは1986年以降、札幌市教育委員会との共催で、
札幌地域の社会人を対象にした公開講座を毎年1回開催しています。
今年度は以下により実施致します。
2022年度 公開講座「溶解する帝国-ロシア帝国崩壊を境界地域から考える」 |
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300年君臨したロシア帝国の崩壊を、帝国の近代化の試みと様々な境界地域における諸民族の動向から考える
期間 2022年5月9日(月)~5月30日(月)
主催 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター(SRC) 後援 札幌市教育委員会、地域研究コンソーシアム、科学研究費基盤研究 (B)「融解する帝国-ロシア帝国末期の境界地域における統治の近代化と社会の流動化」研究課題番号(21H00581)
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かつて帝政ロシアの体制は悪しき圧制とみなされ、その崩壊は自明であったと考えられてきました。ソ連の歴史学は自らの建国につながる革命運動を正当化し、他方で、欧米の歴史学は旧態依然たる専制体制の問題点をリベラルな立場から批判してきました。ロシア帝国に多様な民族が居住したことは知られていましたが、その諸民族は専制の下で抑圧されており、圧政への抵抗として諸民族のナショナリズムが発展したのだと捉えられてきました。しかし、近年興隆したロシア帝国論は、むしろ諸民族を束ねる巨大な帝国が数百年も維持された理由に目を向けるようになりました。つまり、帝国ロシアによる多民族社会の統治が比較的柔軟で合理的であったと考え、そのメカニズムを明らかにしようとしてきたのです。その中には、世界大戦が起こらなければ帝国ロシアにはさらなる持続可能性があったとする議論もあります。では、ロシア帝国の崩壊は世界大戦の最中に生じた単なる偶然だったのでしょうか。それとも、それ以前に崩壊につながるような帝国社会の動揺が起こっていたのでしょうか。これが、本講演シリーズの出発点となる問いです。
本講演シリーズは、近年の帝国論の成果も踏まえつつ、多様な地域や民族に焦点を当てて帝国崩壊を考察します。近年の帝国論によって、帝国の統治システムの分析が進展し、多民族の境界地域が帝国統治に有機的に組み込まれていたことが明らかにされてきました。こうした成果を踏まえつつ、帝国の体制と諸民族の関係が進化したことが体制崩壊にどう影響したのかという問題を、革命を終点に置く議論とは別の次元で検証する必要があります。かつては多民族の境界地域を帝国に接合する傾向にあった各地のエリートは、いつ、どう変容し、体制から距離を置く側面も見せ始めたのでしょうか。帝国統治のための近代的な諸制度は、体制を強化したのでしょうか、その崩壊を促したのでしょうか。帝国の統治システムが境界地域へ広がり、諸民族との接点が拡大する中で、体制と諸民族の間、諸民族相互の間の関係も深まっていきます。この関係の深化が、どう体制を「溶解」させていったのか。こうした論点から、西部境界地域、極東、ヴォルガ・ウラル、コーカサス、中央アジア、ユダヤ人、ウクライナなどの多様な境界地域の多様な集団に焦点を当ていきます。
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2.開講日程 *各講義の要旨はこちらをご覧ください
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