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[スラブ・ユーラシア叢書 10]

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 日露戦争とサハリン島

  このたび「スラブ・ユーラシア叢書」シリーズの第10 巻として、北海道大学出版会から原暉之編著『日露戦争とサハリン島』が刊行されました。
サハリン島は、日本とロシアの境界領域に位置するが故に19 世紀半ばから20 世紀半ばにかけて何度も国境の引き直しと住民の入れ替えを経験した特異な島です。この島の日露戦争前後の時代に焦点を当て、既存のロシア史、日本史、北方史といったジャンルを越えて多角的な視点からこの島の歴史を凝視しようとする共同研究の成果として生まれたのが本書です。
内容は、序章、第1 部「境界としてのサハリン島」、第2 部「戦争の帰結と新たな国境の創出」、第3 部「地域を超える人物と経済交流」、終章からなり、各部はそれぞれ4 つの章から構成されています(目次をご参照ください)。
「日露戦争とサハリン島」という主題は、戦争の結果ポーツマス条約によって南半分が日本領樺太となったことが広く知られてきましたが、それに先立つ時代についても、島内の戦争そのものについても、戦争前後の関係についても未解明の部分が多く残されていました。本書は多様な切り口から新たな事実を掘り起こし、従来の欠落部分を埋めようとする意欲的な論文集となっています。内容は以下のとおりです。

編著: 原 暉之
2011 年 10月
北海道大学出版会 (出版社のページへ)
ISBN 978-4-8329-6750-2
定価3800円

目   次


序章
原暉之
日露戦争期サハリン島史研究の概観と課題
1

第1部
境界としてのサハリン島
第1章
天野尚樹
見捨てられた島での戦争-境界の人間/人間の境界-
35
第2章
神長英輔
開かれた海の富と流刑植民地-日露戦争直前のサハリン島漁業-
65
第3章
田村将人
先住民の島・サハリン-樺太アイヌの日露戦争への対処-
97

第4章
越野剛
二〇世紀ロシア文学におけるサハリン島-チェーホフと流刑制度の記憶-
129

第2部
戦争の帰結と新たな国境の創出
第5章
板橋政樹
退去か、それとも残留か-一九〇五年夏、サハリン島民の「選択」-
159
第6章
ヤロスラブ・シュラトフ
ポーツマスにおけるサハリン-副次的戦場から講和の中心問題へ-
189
第7章
塩出浩之
日本領樺太の形成-属領統治と移民社会-
219
第8章
原暉之
日露戦争後ロシア領サハリンの再定義-一九〇五~一九〇九年-
251

第3部
地域を越える人物と経済交流
第9章
沢田和彦
民俗学者ブロニスワフ・ピウスツキとサハリン島
281
第10章
倉田有佳
ビリチとサハリン島-元流刑囚漁業家にとっての日露戦争-
315
第11章
三木理史
日露戦後の環日本海地域における樺太-新潟県実業視察団を通じた考察-
345

第12章
白木沢旭児
北海道・樺太地域経済の展開-外地性の経済的意義-
367

終章
デイヴィット・ウルフ
(鶴見太郎訳)
サハリン/樺太の一九〇五年、夏-ローカルとグローバルの狭間で-
397


事項索引

1

人名索引

5

付表Ⅰ
サハリン島の人口構成と人口動態
10

付表Ⅱ
南サハリン地名対照表
12

 

 

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