Eurasia Unit for Border Research (Japan)

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What's New Archives

2016.10.03

UBRJ/NIHUセミナー「我らが独島、我らが竹島 日韓の領土問題認識を撃つ」開催される

UBRJ/NIHUセミナー「我らが独島、我らが竹島 日韓の領土問題認識を撃つ」開催される

 2016年9月30日(金)、ニュージーランド・ウェリントン大学からアレクサンダー・ブフ先生をお招きし、標題のセミナーが開催されました。ブフ氏は、西南学院大学を卒業し、東京大学大学院で博士号を取得し、過去には筑波大学に勤務し、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターでも客員研究員を勤められた経験があります。セミナーは日本語でよどみなく行われました。日露関係が元々の専門ですが、現在では竹島/独島問題を含む、領土問題についての記録映像の撮影や表象の問題にも取り組んでおられます。今回のセミナーでは竹島/独島問題についての日韓の自称「市民活動家」 についての記録映像を素材として、日本・韓国両国での領土問題の位置づけや「市民」による「返還運動」のあり方の共通点と相違点などについてブフ氏と岩下明裕UBRJユニットリーダーが激論を展開しました。フロアからも盛んに(時として、苛辣な)質問が寄せられ、議論は白熱しました。登壇した両名からは、竹島/独島問題が解決をみない現実とはいったい何を意味するのかという点について、北方領土問題や尖閣問題との比較の中で、丁寧な説明がなされました。平日16時半からの開催にもかかわらず、44名もの方にご参加いただきました。お越しいただいた皆様全てに感謝申し上げます。

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2016.09.27

シンポジウム 「沖縄基地問題と憲法を北海道で考える」 大盛況

9月22日、札幌の紀伊国屋書店でシンポジウム「沖縄基地問題と憲法を北海道で考え
る」(本ユニットと北海道新聞の共同主催)が開催されました。 延べで160名近くの
方々が訪れ、開始前から立ち見が出る盛況でした。 前日の21日にスラブ・ユーラシ
ア研究センターに足を運ばれた参加者も多数おられました。まずパネリストの野添文
彬氏(沖縄国際大学)が沖縄海兵隊の歴史的展開を概観し、屋良朝博氏(元沖縄タイ
ムス記者)がその現状説明と日本政府による海兵隊沖縄駐留の政治的判断の背景を解
説しました。これを受け、斉藤正明氏(北海道新聞記者)が北海道と憲法の文脈で問
題の意味を位置づけました。熱気にみちた討論が続き、予想されるべき憲法改正の流
れのなかで、沖縄県民がこれにどう対応するのか、米軍基地の存在や日米同盟の強化
がどのようなインパクトをもつのか、通常のメディアなどでは聴くことのできない、
かなりつっこんだやりとりがなされました。2時間にわたる長丁場にもかかわらず、
最後まで帰らずに立ち見で参加されていた方々が多数いた姿が印象的でした。なお、
北海道新聞でまもなく詳報が出る予定です。 (岩下明裕)

・9月23日の速報はこちら 
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0319036.html

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2016.09.27

UBRJ/NIHUセミナー「沖縄と海兵隊:ボーダースタディーズからよむ日米関係」に83名が来場!

UBRJ/NIHUセミナー「沖縄と海兵隊:ボーダースタディーズからよむ日米関係」に83名が来場!

 2016年9月21日(水)、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター大会議室にて、UBRJ/NIHUセミナー「沖縄と海兵隊:ボーダースタディーズからよむ日米関係」が開催されました。平日16時半からという時間帯にもかかわらず、北海道新聞に事前に開催告知記事が掲載されたこともあり、83名というUBRJセミナー史上(恐らく、センター主催のセミナーを含めても)最多の来場者がありました。運営側にとって、これは予想外の動員であり、座席がすし詰めになってしまったこと、お詫び申し上げます。

 今回のセミナーは、元沖縄タイムス記者で、現在はフリージャーナリストとして沖縄米軍基地問題について積極的に発信しつづけている屋良朝博(敬称略、以下同様)による編著『沖縄と海兵隊』(旬報社)の執筆陣による、執筆論文の紹介とそれに対する質疑応答という形式をとりました。冒頭の屋良による書籍の簡単な紹介の後、3名の執筆者に登壇いただき、論文内容の紹介をいただきました。川名晋史(平和・安全保障研究所)の報告では、1960年代の沖縄海兵隊の撤収と普天間飛行場の閉鎖の計画が頓挫し、さらに、関東地方での米軍基地の再編が普天間強化につながった際の歴史的経緯を踏まえつつ、基地再編政策について、戦略とか地理的要因だけで説明できるものではなく、米国内および接受国側のポリティクス等も踏まえる必要があるという主張がなされました。山本章子(沖縄国際大学)の報告では、未だに検証が十分に行われているとは言い難い、1990年代のいわゆる「普天間移設問題」に関して、米国政府がどのような意図を持ち、また、当初の予定通りの推進になぜ失敗したのかについて検証がなされました。1990年代前半に北朝鮮の核開発危機が持ち上がった際、朝鮮半島有事の際の国連軍の使用基地として普天間(およびその移設先の辺野古沖)が措定されていたが、日米両国でのポリティクスや、沖縄世論の悪化、その米軍による読み違えなど様々な要因が重なって、移設問題は混迷を極めるようになったとのことです。齊藤孝祐(横浜国立大学)の報告では、普天間とグアムとが天秤にかけられる関係にあり、米国内では当初パッケージとして捉えられていたが、リーマンショック後の財務状況の悪化などの環境の変化の中で、この両者が最終的に切り離されて議論されるようになったことのプロセスが検討されました。質疑応答の際には、もう一名の執筆者である野添文彬(沖縄国際大)にもご登壇いただきました。
 1時間半という時間の中で、3名の報告者の方には各自20分程度の時間でコンパクトに報告をまとめていただきましたが、質疑応答の時間があまりとれなかったことが惜しまれます。米軍が沖縄に展開することで、日本国民の多くが安全保障上の利益を享受している(と、少なくとも考えている)わけですが、実際にその場で苦痛を味わっている沖縄の人々の立場になかなか立てない、だからこそ大局観に立ってトップからボトムまで問題の本質に意識的に目を向ける必要があるということを改めて確認することができたセミナーだったと思います。屋良氏による、「苫小牧あたりに海兵隊基地を置いてもらって・・・」という発言も印象的でした。

(文責:地田 徹朗)


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2016.09.05

メーファールアン大学(タイ・チェンライ)社会インノベーション・スクールとの協定締結

DSC_0356.JPGメーファールアン大学(タイ・チェンライ)社会インノベーション・スクールとの協定締結

 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター境界研究ユニット(UBRJ)はこの度、タイ北部のチェンライ市にあるメーファールアン大学の社会インノベーション・スクールとボーダースタディーズの研究協力に関わる協定を締結しました。これはスクールのディーンでもあるシリポーン・ワッチャルク教授の要請によるもので、タイのボーダースタディーズ・ネットワークの構築を支援するものです。教授はその強いイニシャティブにより、チェンライなど4つの大学とすでに協定を締結しており、今後の展開が期待されます。世界のボーダースタディーズ・コミュニティでは日本とインドがアジア地域で主導的役割を果たしていますが、東南アジアからの新たなイニシアチブは祝福されることでしょう。

 UBRJとの協定に基づき、来年の5月にタイのネットワークとの協力による現地でのシンポジウム開催が早くも議題に上りました。また来年7月に予定されているボーダースタディーズのサマースクールへのタイからの若手研究者の参加について話し合われました。

 セレモニーの後、UBRJの岩下明裕が基調講演を行い、200名の参加者(うち180名が学生)の前で世界とユーラシアのボーダーの経験と研究蓄積を紹介し、ボーダーもつ2面、紛争と協力のそれを、領土問題とツーリズムを代表させて分析し、ボーダーが有するインノベ―ティブなものを一緒に創りあげていこうと訴えました。

(文責:岩下 明裕)


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2016.08.31

岩下明裕がメキシコ自治工科大学にてボーダースタディーズの集中講義を実施

IMG_7415.JPG岩下明裕がメキシコ自治工科大学にてボーダースタディーズの集中講義を実施

 メキシコティのメキシコ自治工科大学(ITAM)で8月12日か26日までボーダースタディーズの集中講義を実施しました。これは国際交流基金の吉田茂チェアー・プログラムとして、ITAMのウリセス・グラドナス教授が主催したものです。およそ2週間で計21時間にわたる講義を、北海道大学グローバルCOEプログラム「境界研究の拠点形成」のDVD「知られざる国境シリーズ」を教材に、中露、中央アジアのユーラシアの国境問題から、日本をとりまく領土問題、ボーダースタディーズの諸理論、ボーダーツーリズムなど様々なテーマで行いました。参加した学生は40人を越え、全員がルートリッジ社から最近出版されたJapan's Border Issues: Pitfalls and Prospectsを読み、講義にのぞみました。

 最終日は9組に分かれてグループ・プレゼンテーションを行いましたが、これは本ユニットで実施しているサマースクールの手法を応用したものです。一番人気は、時節を反映してか、尖閣問題。中国組と日本組に分かれて議論を闘わせました。その他、日米同盟、日中関係、朝鮮半島問題など戦略的なテーマがあるかと思えば、ボーダースタディーズの理論的動向を追跡した秀逸な発表もありました。日本人の留学生も3名おり、熱心に学んでいました。個人的にびっくりしたのは、中露関係のプレゼンテーションで、旧著『中・ロ国境4000キロ』(英語版)を参考にした報告があったことでした。最終日、学生のほとんどが興奮状態で、それぞれの報告に対して質疑応答が飛び交い、最高のフィナーレを迎えました。

IMG_7578.JPG これまでボーダースタディーズは、メキシコではシウダー・ファレスなど国境地域でしか知られていなかったように思いますが、南シナ海問題を専門とするグラナドス教授のイニシャティブにより、今後はアジア研究やボーダースタディーズそのものがメキシコ全体で発展していくものと期待します。またITANの学生が近い将来、北大サマーインスティチュートに参加することになるのではないかと楽しみにしています。

 今後はグラドナス教授との連携で、ITAMを拠点に、キューバやグアテマラなどで調査やセミナーを実施する予定です。ボーダースタディーズの中南米展開にどうぞご期待ください。

(文責: 岩下明裕)

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2016.08.23

ボーダースタディーズ・サマースクール参加記~千須和里美さん~

ボーダースタディーズ・サマースクール参加記~千須和里美さん~

 先だって行われたボーダースタディーズ・サマースクール2016に参加した北海道大学大学院文学研究科スラブ社会文化論専修修士課程の千須和里美さんより、参加記を投稿していただきました。こちらからPDFファイルをダウンロードしてご一読ください。


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2016.08.11

「北東アジアの現在/Northeast Asia Today」第1号の刊行

「北東アジアの現在/Northeast Asia Today」第1号の刊行

 UBRJとタイアップ関係にある、人間文化研究機構「北東アジア地域研究」プロジェクト北大スラ研拠点は、ウェブ報告書「北東アジアの現在/Northeast Asia Today」を発刊することになり、その第1号が完成しました。かつて、グローバルCOEプログラム「境界研究の拠点形成」および境界地域研究ネットワークJAPAN(JIBSN)が刊行していた「ライブ・イン・ボーダースタディーズ」に近いものとお考えください。記念すべき第1号では、2016年1月23-24日に国立民族学博物館で行われた、プロジェクトのキックオフ・シンポジウムでの第一セッション「なぜ北東アジアでは国境を越えた協力構想を構築できなかったのか」での討議記録(英語)になっております。こちらからダウンロードしてご一読ください。

2016.08.10

サマースクール・エクスカーションでの飛生アートコミュニティー訪問の様子が『苫小牧民報』紙などに掲載

サマースクール・エクスカーションでの飛生アートコミュニティー訪問の様子が『苫小牧民報』紙などに掲載

 7月29日(金)、ポスト・サマースクール企画として行われた白老・登別エクスカーション時に訪れた、飛生アートコミュニティーでの交流の様子が『苫小牧民報』『室蘭民報』紙に掲載されました。『苫小牧民報』紙での記事はウェブでも閲覧できます。こちらをご覧ください。「普段の学術的な研究とは異なり、芸術面から見る境界について関心を寄せていた」と記事に書かれているように、参加者にとっては「境界」の表象について学ぶ格好の機会となりました。

2016.08.10

北大総合博物館にて「国境観光」第二期展示が開催中!

musium_renewal_date.jpg北大総合博物館にて「国境観光」第二期展示が開催中!

 すでに本HPでの告知はしておりましたが、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター境界研究ユニット(UBRJ)は、7月26日にリニューアルオープンした総合博物館(2階スラブ・ユーラシア研究センター境界研究ユニットのブース)にて、「国境観光(Border Tourism)」第二期展示を組織しました。メインコンテンツは、稚内市在住の写真家(兼学芸員)斉藤マサヨシ氏によるサハリンの自然と名所、日本統治時代の遺構をフィーチャーした「サハリン(樺太)国境紀行写真展」です。また、岩下明裕・ユニットリーダーが監修した「対馬」と「稚内・サハリン」国境観光についての解説パネル、そして、第一期展示に引き続き、日本統治時代の樺太観光についてのパネル展示を掲げております。後者は、昨年10月に闘病の末、33歳の若さで永眠された宇佐見祥子さんの遺作です。宇佐見さんは2009年からGCOE/UBRJの博物館展示にかかわってこられた大功労者であり、宇佐見さんについてのメモリアル展示も組織しました。総合博物館2階にUBRJブースがございます。月曜日休館で、10時~17時まで開館です。北大をご訪問の際は、ぜひお立ち寄りください。

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2016.08.03

SRC & HOPS ボーダースタディーズ・サマースクール開催される

サマースクール.jpgSRC & HOPS ボーダースタディーズ・サマースクール開催される

 2016年7月25日(月)から29日(金)まで、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターを会場として、スラブ・ユーラシア研究センターと公共政策大学院との合同で「ボーダースタディーズ・サマースクール2016」が開催されました。国籍ベースで21カ国から、54名(講師・聴講生を含む)の参加がありました。そのうち、外国人の参加者数は43名でした。なお、サマースクールは、北海道大学サマーインスティテュートの枠内で実施され、登録者には単位認定も行われます。

 初日の25日(月)は、午前の2限時にサマースクールの責任教員である池直美(公共政策大学院)と岩下明裕(スラブ・ユーラシア研究センター)によるイントロダクションを最初に行い、午後の3・4限時にはアレクサンドル・ディーナー(カンザス大、米国)が、ディシプリンとしてのボーダースタディーズについて理論的側面について包括的に解説する講義を行いました。5限時は、岩下明裕が北方領土問題や沖縄米軍基地問題など日本の内と外の境界問題について解説し、現状では「障壁」となっている日本の国境を「ゲートウェイ」に変える試みとしての国境観光の取り組みについて紹介をしました。初日には生協中央食堂にてウェルカムパーティーも開かれました。

 二日目の26日(火)には、2限時にデイビッド・シム(フローニンゲン大、オランダ)が、北朝鮮の日常生活や社会の表象について取り上げ、「視覚の政治(visual politics)」という視覚から分析を行いました。3限時には、藤森信吉(スラブ・ユーラシア研究センター)が、ドネツク人民共和国(ウクライナ領内)と沿ドニエストル共和国(モルドヴァ領内)を主な事例として、非承認国家をめぐる政治経済学について現地調査の結果を含む豊富な一次資料に基づいて解説しました。4限時には、田畑伸一郎(スラブ・ユーラシア研究センター)が、ロシアの北極圏開発の現状と課題について、石油・ガス開発を中心としつつもそれに留まらない多面性について詳らかにしました。5時限には、翌日の移民についての講義の予習の意味も込めて、日本に暮らす日本人と外国人の混血の人々の生き様に焦点を当てた映画「ハーフ(Hafu)」の鑑賞を行いました。

 三日目の27日(水)には、2限時にポール・フライヤー(東フィンランド大)が、EUの移民問題について講義をしました。理論的側面からスタートし、EU諸国の移民政策やアプローチが一枚岩でないことを説明しつつ、中東難民問題の中であまり注目されてこなかったフィンランドの移民政策について詳しい説明がなされました。3限時には、池直美が、日本と韓国における在日コリアン、日系ブラジル人、在外同胞をめぐる政策と両国内での地位の問題について論じました。次いで4時限には、ヨニ・ヴィルックネン(東フィンランド大)が、ロシアへの中央アジアからの労働移民の間でのコミュニティと食をめぐる問題(「フードスケープ(foodscape)」)という、移民問題に新たな光を当てる報告を行いました。5時限には、地田徹朗(スラブ・ユーラシア研究センター)が、中央アジアのアラル海災害を事例に、環境問題とボーダー、そしてスケールの問題について論じました。

 スクール最終日には、2限時に阿部千里(NPO "Ainu Indigenous Peoples Film Fest")が、日本におけるアイヌ民族の歴史と日本政府による先住民政策の変化と実態について論じました。3限時には、26日にリニューアルオープンしたばかりの北海道大学総合博物館を訪問し、第二期「国境観光」展示を展開している境界研究ユニット(UBRJ)と2015年度に新設された北極域研究センターのブースを中心に見学をしました。4限時と5限時には、参加者を9つのグループに分けて取り組ませた、グループワークの報告会が行われました。「2030年の世界」について、移民・環境・世界経済などのトピックの中から各グループが1つを選択し、グループごとに内容をまとめ上げ、参加者全員が何らかの報告をするという形式で行われました。聴講生を含む参加者のレベルは様々でしたが、英語で報告をするのが始めてという参加者もおり、ボーダースタディーズについての知識のブラッシュアップが図られたというだけでなく、教育的効果も非常に高いものでした。スクール終了後には、SRCラウンジにてオール・ダン・パーティーが開かれました。

 29日(金)には、ポスト・スクール・エクスカーションを実施しました。前日のアイヌ民族に関する講義に引き続き、まず白老町のアイヌ民族博物館「ポロトコタン」を訪問して、アイヌ舞踊を鑑賞し、民族楽器であるムックリの演奏体験を行い、アイヌ民族料理に舌鼓を打ちました。その後、45分程度の自由時間を設けて博物館の見学を行いました。ポロトコタンまでの道中では、山崎幸治(アイヌ・先住民研究センター)にポロトコタンの設置をめぐる経緯とその役割について事前解説をしていただきました。次に、同じく白老町の飛生アートコミュニティーを訪問しました。飛生アートコミュニティーは、1986年に過疎化により廃校になった旧飛生小学校の校舎を活用する形で創設されました。2代目主宰の国松希根太氏は、自らが彫刻家・画家として活躍する一方、飛生アートコミュニティーでは、「飛生芸術祭/飛生キャンプ」の企画・開催や「飛生の森」の整備など、白老町や飛生地区のリソースを活用して参加型のアート活動を展開しており、飛生に訪れてpathやtrailを刻むことそのものがアートになるという仕掛けに参加者一同、感銘を受けました。また、国松氏の作品そのものが境界線をテーマとしており、参加者からは作品のモチーフについて様々な質問が飛び交いました。また、飛生アートコミュニティーには、2009年から14年まで北海道大学総合博物館技術支援員としてGCOEプログラム「境界研究の拠点形成」の博物館展示で活躍し、その後は、スラブ・ユーラシア研究センター研究支援推進員として第一期「国境観光」展示のデザインに携わった宇佐見祥子さんがメンバーだったことも特筆させていただきます。宇佐見さんは、闘病の末、2015年10月に永眠されました。しかし、こうして宇佐見さんが深く関わった飛生アートコミュニティーとUBRJとがコラボレーションできたことは、天国の宇佐見さんも微笑みながら見守ってくれたのではと思います。

 GCOE時代の過去4回のサマースクールと比較して、今回は倍以上の人数の参加がありましたが、大きなトラブルもなく終了することができ、概ね参加者からも高評価をいただいております。講義内容も、SRC、HOPSそしてUBRJのカラーがバランスよく出ており、講師・参加者からもたいへん好評でした。サマースクールの実施は「将来への投資」でもあります。これを機に、UBRJはボーダースタディーズの裾野をさらに広げ、さらなる国際学術交流・協力に邁進してゆく所存です。全体統括の池直美先生、岩下明裕先生、スタッフの方々、講師の先生方、そして、近くは日本国内から遠くはアフリカのガーナまで、世界各地から札幌にお越しいただいた参加者の皆様に心より感謝申し上げます。

(文責:地田 徹朗)

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