Eurasia Unit for Border Research (Japan)

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What's New Archives

2016.07.25

道新ウェブ版に岩下明裕・UBRJユニットリーダーの講演についての記事が掲載

道新ウェブ版に岩下明裕・UBRJユニットリーダーの講演についての記事が掲載

 北海道新聞ウェブ版に、7月23日(土)に稚内市で行われた「稚内学特別講座 国境紀行:稚内~サハリン」での岩下明裕・UBRJユニットリーダーの講演の様子が記事として掲載されております。「サハリン国境紀行写真展」で活躍されている、稚内市教育委員会学芸員の斉藤譲一さんと共に、稚内・サハリンの国境観光の楽しみについて語ったものです。リンクはこちらになります。ぜひご一読ください。

2016.07.24

第4回ボーダースタディーズ東京部会開催される

第4回ボーダースタディーズ東京部会開催される

 去る7月2日、東京・御茶の水にある中央大学駿河台記念館において、第4回ボーダースタディーズ東京部会が開催されました。土曜の午後、しかも30度をゆうに超す猛暑の中、40名以上の参加者がありました。欧米、アジア、中東の研究者、ボーダースタディーズに興味・関心のある一般の方も参加されました。そして何よりも、この東京部会の特徴としては、ボーダースタディーズを学んでいる学部学生の参加が常に多いことであります。今回も中央学院大学、創価大学、中央大学、上智大学、日本大学の学生たちが多数参加してくれました。会の冒頭、東京部会の研究幹事である川久保文紀(中央学院大学)が、日本におけるボーダースタディーズの研究上の制度的拠点が全国に広がっている現状と東京部会の役割について述べた後、池直美講師(北海道大学)からAssociation for Borderlands Studiesの日本部会設立の経緯と国際学会との協働関係について説明が行われました。
 最初に、境界研究ユニット代表の岩下明裕教授(北海道大学)より「ボーダースタディーズの最前線」と題した基調講演がありました。新著である『入門 国境学―領土・主権・イデオロギー』(中公新書)の執筆目的と、ボーダースタディーズの基本的概念および方法論的特色に触れながら、この著作の全体的な概略が示されました。学生たちにとっては、自分たちが読んでいるテキストの著者に直接話しをうかがえるという貴重な体験になり、真剣なまなざしでノートをとっている姿が印象的でした。次に、前田幸男准教授(創価大学)が「国際社会の誕生とその空洞化:ミシェル・フーコーの講義録の政治地理学的再構成の試み」と題した研究報告を行いました。前田准教授は、ミシェル・フーコーの統治性概念に依拠しながら、現代においては、国家の三要素のである主権、領土、人民の三要素間にズレが生じてきており、とりわけ空戦や9・11テロ以後の「リベラルな」戦争の遂行においては、統治する主体と統治される客体の伝統的な関係が揺らいでいると論じました。そして、主権と聖性に基づき、政治と宗教の関係に根本的再考を迫る非西洋的・非領土的パラダイムの台頭は、他者の包摂と排除のロジックに内在的に潜む西洋的・領土的パラダイムの「われわれ」というアイデンティティに対してラディカルな問い直しの契機を与えうるとしました。ボーダースタディーズにおいては抜け落ちている部分である非西洋的な領域性とは何であるのかを、参加者全員で考えるよい機会となりました。ご多忙の中、報告していただいた岩下教授と前田准教授には、心より感謝申し上げます。

(文責:川久保文紀)
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2016.07.21

ブックレットボーダーズ第3弾『稚内・北航路:サハリンへのゲートウェイ』刊行される!

wakkanai-sakhalin-Itani.jpgブックレットボーダーズ第3弾『稚内・北航路:サハリンへのゲートウェイ』刊行される!

 好評を博しております、NPO法人国境地域研究センターの企画によるブックレットボーダーズの第3巻がこの度刊行されました。グローバルCOEプログラム「境界研究の拠点形成」では学術研究員として活躍し、現在は北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター共同研究員である井澗裕の編集による『稚内・北航路:サハリンへのゲートウェイ』です。北海道大学出版会による刊行です。樺太・サハリン近現代史を我が国で牽引する井澗の手による日本領時代の樺太の歴史遺構を中心とする迫力ある解説や、中川善博(稚内市役所)による国境の街としての稚内についての解説、そして、刀祢館正明(朝日新聞)による樺太のかつての北の国境(北緯50度線)の訪問ルポなど、コンパクトな中で盛りだくさんな内容になっています。樺太・サハリンの歴史遺構や稚内とサハリンとのつながり、または「国境観光」とは何かということについて知ることができるだけでなく、実際に稚内からサハリンに(あるいは、稚内やサハリンに)観光で訪れる方にとっても格好のガイドブックにもなること間違いありません。全国の書店(ネット書店を含む)で絶賛発売中ですので、ぜひご購入の上でご一読下さい。

2016.07.21

日本国際文化学会第15回大会共通論題でボーダーズ!

日本国際文化学会第15回大会共通論題でボーダーズ!

 2016年7月17日、早稲田大学で開催された日本国際文化学会で、本ユニット、九州大学アジア太平洋未来研究センター、Association for Borderlands Studies(ABS)日本部会などが共同で企画した共通論題「ボーダースタディーズからみたカルチュラルな境界」がラウンドテーブル形式で行われました。
 まずUBRJユニット代表の岩下明裕(北海道大学)が、ボーダーをめぐる議論における文化の機能についての論議が学界で十分にはなされていないことを踏まえ、様々な地域や観点を盛り込んで組織された本共通論題が国際文化学会の場で開催されることの意義を説明しました。また岩下は議論のたたき台として、政治文化論の枠組みをもとに、縦軸に集団性と個人性、横軸に独裁と民主主義の座標を置き、日本、韓国、中国、ロシア、米国、カナダ、イギリス、フランス、そしてインドなどの国家と社会におけるボーダーの様態を図式化したモデルを提案しました。
 これに対して、川久保文紀(中央学院大学)は米国の事例をもとに、この図式は国家にとらわれた本質主義的な側面が強いとする限界を指摘するとともに、構築主義の観点から北米で進行するセキュリタイゼーションによる社会的ボーダーをとらえ直す必要性に触れ、境界地域(ボーダーランズ)における異文化のダイナミズムを学ぶことの意味を強調しました。

 これとは逆に、池直美(本ユニットメンバー、ABS日本部会長)は、この枠組みを援用しながらも、韓国とカナダの事例をもとに、よりこの図式を差異化する観点から議論を展開しました。さらに多文化主義のカナダ・モデルが、コストがかかり、米国との関係性ゆえに機能している側面を受け入れつつも、世界にとって学ぶべき社会とボーダーのあり方ではないかと問題提起を行いました。
 花松泰倫(九州大学)は、中国とロシアの文化の相関と比較から論を始め、フィールドワークを重ねた対馬という境界地域における日韓の文化的交錯とそのどちらにも属さない対馬的な文化の生成について言及しました。なかでもドイツのナイメーヘンの研究者達が提唱している「親近性」と人々のモビリティの相関についての研究を下敷きに、日韓の「親近的な」差異が対馬を韓国人観光客に魅力的にしてているという興味深い仮説を提示しました。
 
最後に登壇した鈴木隆泰(山口県立大学)は、インド仏教への深い造詣をもとに、仏教をめぐる当初の言説が開放的で包摂的なものであったことを説明し、インドのカースト社会がこれを拒絶し、仏教の真の姿がゆがめられたと主張し、その出発点を見直すことで差別を生み出すボーダーの機能を乗り越えることができるのではないかという大胆な論議を行いました。
 
日曜の午後という時間帯にもかかわらず、セッションには40名の参加者があり、世界の様々な文化を「境界」や「境界地域」という枠組みで通底させて比較・相関を行う、ボーダースタディーズの「カルチュラルな」展開に、参加者全員がラウンドテーブルの終了まで釘付けになっていたいました。

                              (文責:岩下 明裕)
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2016.07.13

北大総合博物館UBRJブースが7月26日にリニューアル・オープン!

musium_renewal_date.jpg北大総合博物館UBRJブースが7月26日にリニューアル・オープン!

 北海道大学総合博物館は2015年4月より耐震工事実施により、一時閉館されていましたが、2016年7月26日(月)よりリニューアル・オープンいたします。閉館前、UBRJでは国境観光特設展示を行っておりましたが、リニューアル・オープン後もSRC・UBRJの常設展示ブースは継続することになり、さらにパワーアップさせた形でUBRJでの研究や社会連携事業の成果を展示の形で公開してゆきたいと考えております。今回のリニューアルにあたり、対馬・釜山および稚内・サハリンの国境観光についての展示をリニューアルいたしました。また、メイン・コンテンツとして稚内市在住の写真家、斉藤マサヨシの国境紀行写真展を実施いたします。皆さまのお越しをお待ち申し上げております!

2016.06.24

UBRJセミナー「中露国境地域の経済交流実態をみる:国境の町・綏芬河のいま」参加記

UBRJセミナー「中露国境地域の経済交流実態をみる:国境の町・綏芬河のいま」参加記

 2016年6月23日(木)、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターにて、福島大学の朱永浩先生をお迎えし、「中露国境地域の経済交流実態をみる:国境の町・綏芬河のいま」と題するセミナーが開催されました。平日の16時半からという時間帯にもかかわらず、約30名という多数の来場者がありました。冒頭、中国黒龍江省の中ソ国境地域出身の朱先生より、ソ連時代に末期に国境で実際にバーター取引に駆り出されていたという幼少期の体験が現在のテーマでの研究に繋がっているとお話があり、その後、現在に至るまでの中露国境の街・綏芬河での経済交流と物流の実態の通時的変化について、多くの写真と共に解説をしていただきました。
 綏芬河市を含む中国東北部の対外貿易額はロシアが半数以上を占め、特に、輸入額については木材や鉱物資源・肥料を中心に9割に届く勢いという説明がなされた後、現在の綏芬河市での国境物流の実態について説明がありました。かつては、中露国境を個人が跨いでモノのやり取りを行う、いわゆる「担ぎ屋」によるモノの流れが非常に盛んでしたが、ここ数年の間にその数が激減している。綏芬河市に中国大手ネットショッピング企業であるアリババ社のロシア向け発送商品の集積所が整備され、綏芬河からロシア領に商品を運び込んで、現地企業がロシア郵便と提携して発送を行っている。近年は、綏芬河に至る道路・鉄道などの物流インフラが徐々に近代化され、遠隔地からの鉄路や道路での物流が円滑化されるようになってきている(と同時に、まだ課題もある)。綏芬河を起点としてモノをウラジオストクまで運び、そこから航路で韓国や日本に輸送することが構想されており、釜山までの物流の実験も行われている。以上のようなことについて詳細なご説明いただきました。そして、日本企業もこの北東アジア国境地域での物流に参画する千載一遇のチャンスが目の前にあるにもかかわらず、マルチリンガルな現場で物流を動かせる人材が日本で育っていないため、参入障壁が現段階では非常に高く、日本が乗り遅れているという耳の痛い実情についても説明がありました。
 本セミナーは、UBRJが仕掛け役となっている本年9月に実施予定の中ロ国境ツアーのプレ企画の意味合いもあり、ツアーに参加する方にとっては貴重な事前学習の機会となっただけでなく、ツアーに参加しない方々にとっても急速な変化・発展を遂げている北東アジアのゲートウェイたる綏芬河の実状を知るまたとない機会となりました。たいへん興味深いご報告をいただいた朱先生に感謝いたしますと共に、ご来場いただいた皆様に心より御礼申し上げます。

(文責:地田 徹朗)

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2016.06.24

The Japan Times に八重山・台湾国境観光ツアーに関する記事が英語で配信!

The Japan Times に八重山・台湾国境観光ツアーに関する記事が英語で配信!

 2016年6月16日付のThe Japan Timesオンライン版に、"Corstal borderlands see as a new theme for tourism"と題する時事通信による記事が英文で掲載されました。この記事は、2016年6月2日から6日にかけて行われた八重山・台湾ボーダーツーリズム・ツアーの模様とその意義について書かれたものです。本ツアーは、九州経済調査協会の島田龍を中心に組織され、ビックホリデー社が企画・実施しました。その元となる日本語の記事(「『国境の旅』で活性化期待:八重山諸島から観光ツアー―台湾」)はヤフー・ニュースで一読できます。内容としては英文のほうがやや詳しく、国境観光の推進者としての岩下明裕(北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター/UBRJユニット代表)や古川浩司(中京大学)の名前が挙げられ、また、夏季は台湾からの観光客で賑わう八重山諸島観光の通年化のツールとして国境観光が注目されている点などが指摘されています。ぜひ、リンクをクリックしてご一読ください。

2016.06.24

中京大学にて公開研究会「くにざかい・地域・ツーリズム」が開催

中京大学にて公開研究会「くにざかい・地域・ツーリズム」が開催

 2016年6月18日に中京大学において公開研究会「くにざかい・地域・ツーリズム」が開催されました。本研究会は、中京大学社会科学研究所「日本の国境警備論」研究プロジェクトと北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターが主催し、NPO法人国境地域研究センター
、九州大学アジア太平洋未来研究センター、境界地域研究ネットワークJAPAN
の共催、協力のもとで行われ、およそ30名の方々が参加されました。

 まず初めに、田中輝美氏(ローカルジャーナリスト)が基調報告を行いました。山陰中央新報記者時代に竹島周辺での漁業に関する日韓での取材をされたご経験から(後に、その取材内容について、琉球新報・山陰中央新報著『環りの海:竹島と尖閣 国境地域からの問い』(岩波書店、2015年)を出版し、2013年度新聞協会賞を受賞している)、領土問題を国境地域社会のローカルな視点から見る必要性について議論されました。さらに、ご出身の島根県で地域振興のサポートに関わられる中で提唱されている「風の人」(土着の人や移住定住者ではなく、観光客など自由に出入りする人々)というコンセプトのもとで、ヨソモノが地域に関わる多様なあり方についても示され、そのひとつの形として国境観光(ボーダーツーリズム)の重要性を説かれました。

 次に、「ボーダーを使う:地域振興とツーリズムから」と題したパネルディスカッションにおいて、近年注目されている国境観光(ボーダーツーリズム)の展開と課題、国境地域にとっての意義について議論が行われました。まず司会の花松(九州大学)がボーダーツーリズム論の理論的背景や目的から見た類型などについて概説を行いました。その後、高田喜博氏(北海道国際交流・協力総合センター)から昨年行われた稚内サハリンモニターツアーと北海道オホーツク沿岸を横断する国境を越えないボーダーツアーについて、山上博信氏(名古屋こども専門学校)からは本年10月に予定されている小笠原ボーダーツアーとパラオやサイパンとの繋がりについて、さらにユーラシア大陸の旅行手配を手掛ける濱桜子氏(エム・オー・ツーリスト)から本年9月に行われる予定の中露国境ボーダーツアーについて、それぞれ紹介がありました。その後、本年6月の八重山台湾モニターツアーに参加された田中氏を交え、ボーダーツーリズムが旅行者にとってどのような魅力があるのか、またボーダーツーリズムの発展が国境地域にいかなる影響があるのか、特にローカルな視点からボーダーツーリズムが持つ意味について活発な議論が行われ、ボーダーツーリズムの更なる可能性が示されました。

 今年度は、すでに終了した八重山台湾や、パネリストが紹介した中露国境や小笠原のほかに、対馬釜山、サハリン北緯50度線をめぐるツアーも予定されており、今後の更なる発展が期待されています。

(文責:花松 泰倫/九州大学持続可能な社会のための決断科学センター講師)

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2016.06.14

九州大学KUBSがタイ・メーファールアン大学との交流会を開催

九州大学KUBSがタイ・メーファールアン大学との交流会を開催

 2,016年6月10日(金)、タイのメーファールアン大学社会イノベーション学部の Siriporn Wajjwalku学科長、Wanwalee Inpin、Vorawan Wannalak、そしてPathompong Manohanが九州大学アジア・太平洋未来研究センターを訪問し、CAFS/KUBSのセルゲイ・ゴルノフ教授とテッド・ボイル助教との間で交流会を開催しました。タイ北部国境地域にあるメーファールアン大学は、2015年7月13日、スラブ・ユーラシア研究センターにも訪問しています(その際の、UBRJセミナーの様子はこちら)。今後は、北海道大学UBRJと九州大学KUBSとがタッグを組み、タイを含むアジア地域での境界研究コミュニティーとの交流を強化し、アジアにおける境界研究のさらなる拡大と展開を試みます。

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2016.06.14

KUBS発行「ボーダー・バイツ」、岩下ユニットリーダーの記事がアップ!

Border-Bites-2.jpgKUBS発行「ボーダー・バイツ」、岩下ユニットリーダーの記事がアップ!

 九州大学アジア・太平洋未来研究センター・ボーダースタディーズ・モジュール(KUBS)のホームページに、岩下明裕UBRJユニットリーダーとミハイル・アレクセエフ(米サンディエゴ大学)の共著による"Blended Sovereignty: Experiencing the US‐Mexico Border Bridge"と題する小論が、KUBS発行のウェブ報告書「ボーダー・バイツ(Border Bites)」第2号として掲載されています。ちなみに、第1号は、一昨年度、スラブ・ユーラシア研究センター客員研究員を務めたセルゲイ・ゴルノフ(現九州大学アジア・太平洋未来研究センター)による"Russian Tourism to Japan: The Impact of the Visa Barrier"です。他にも「ボーダーブリーフィング(Border Briefing)」やイベントの参加記などコンテンツの充実が図られています。リンクをクリックしてぜひご覧ください。

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